2023-12-30

ウルトラロープロファイルの自作キーボード制作の夢を見た [自キ沼 #38]

今年2023年は贔屓味かもしれませんが、ロープロファイル仕立ての自作キーボードや市販キーボードが徐々にですが広まってきたとおもいます。
そして更に薄くて、PCBから上がたった3.3mmのCherry MX Ultra Low Profileスイッチ(MX ULP)を採用したキーボードやラップトップもポツポツ出てきていて、評判もなかなか良いようです。

ロープロファイルの自作キーボード制作の次のレベルアップとして、このウルトラロープロファイルのスイッチ(MX ULP)をなんとか使えないかをこの数ヶ月思案していました。
考えられるハードルとして次のような点があります。

  • MX ULPスイッチのバリエーションは、クリッキーとタクタイルの2種類のみ
  • MX ULPスイッチ自体の入手性がわるい、というか入手経路がほとんどない
  • MX ULP用のキーキャップが更にない、3Dプリントできないこともなさそうだけれど微細なのでとてもハードルが高い
  • MX ULPはPCBへの取り付けが表面実装方式(電極足が出ていれば、ハンダ付けしやすいし、ソケットも対応できるのにそうじゃない)
  • MX ULPは他のキースイッチのように固定するプレートもなくて、PCBに固定するしかない
  • MX ULPのフットプリント等の詳細な図面が見つからない

普通に考えれば、状況が改善するまで待ちにせざるを得ない状況でした。
そんな中、githubにMX ULP利用のためのまとめ情報が出ているのを見つけました。
https://github.com/pashutk/Cherry_MX_ULP
これで、実現に向けて明かりが見えてきました。
MX ULPスイッチとキーキャプは、単体の部品ではなくて、Dell Alienware m15/m17/x1ゲーミングラップトップのキーボードユニットから比較的安価に手に入れられそうです。
フットプリントやケースカバーの寸法決めはパーツを実測してやることになりそうです。

MX ULPは手配線は、スイッチをプレートに固定する方式ではなくて、PCBにハンダ付けで固定する方式なので、原理的に無理です。
自分好みのキー配置でまずはPCBを作成して進めてみようかなと思います(Lilith miniくらいからかな)。

この投稿は、休日のリラックスの中、iPadのソフトウェアキーボードで作成しました。

[2024-01-03] 実際にMX ULPを手にいれたので続編を書きました

2023-10-15

eSIMの契約は全てオンラインでできるけれど、格安SIMでの注意点:iPhoneはディアルSIMでも1つのみ、また古いAPN設定を確実に消してから新しいAPNを読み込むのがコツ

先日、スマホの格安SIM契約を切り替えたのですが、すこしハマってつまずいてしまったので、記録しておきます。

  • 従来の契約:
    b-mobileおかわりSIM 5段階定額データ専用
    b-mobile(日本通信)は最初期のMVNOです。
    長い歴史の中で何度かプランや料金体系の更新がありました。
    現在は1GBまで500円〜5GBまで1,500円の1GBごと250円の段階料金になっています。
    残念ながらこのプラン自体の新規契約は今はできません。
    こちら、解約せずXREALと連携するAndroidか何か用にキープするかどうか悩み中です(下記をさらに追加したほうが安いのにこれを書いていて気付きましたが)。
  • 新しい契約:
    日本通信SIMの合理的シンプル290プラン
    日本通信は現在、b-mobileと「日本通信SIM」のダブルブランドでMVNOを提供しています。
    こちらのプランは通話とSMSも可能で、通信1GBまで290円、1GBごと220円の段階料金(MAX 100GBまで制限設定可能)、通話は従量制で11円/30秒とこちらもお得な部類で、別途通話定額オプションもあります。
    今回はeSIMを選択しました。

今回、なぜiPhoneのモバイル契約をデータ専用からアップグレードしたかと言いますと、色々なサービスでSMS認証が増えてきて不便になってきたことと、あわよくばLINEの年齢認証も有効に(こちらは調査不足で失敗、LINE年齢認証に対応する格安SIMはかなり限定的なのを後で知りました)したかったからです。

eSIMの契約は、思い立ってから1時間くらいで簡単に完了しました。
モバイル回線利用のための、eSIMの発行や、MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティのワンストップサービス)が自宅ですぐにできてしまうとは、良い時代になったものです。
本人確認も、マイナンバーカードをアプリから読み込んで、免許書の写真を送ったりの手間なしでスムーズでした(はじめて、マイナンバーカードのありがたみを感じられた瞬間でした)。

しかしながら本来はこの後(大手3社の直接回線契約以外のahamo、povo、LINEMO等も含む格安SIMでは)APN設定が不可欠です。
わたしの場合、従来のb-mobileのAPNだけが設定されている状態に、日本通信SIMのAPN設定されている状態に切り替えないといけないのですが、最初はこのことを忘れていました。
すでにiPhoneのアンテナ表示は2段表示に切り替わっていて、SIMとeSIMの両方が有効になって電波を掴んでいるのですが、どうやっても従来のb-mobileでしかデータ通信ができないと悩んでしまいました。
なお、音声通話は問題なく使える状態です。 

じつに数日後、APN設定が必要なことを思い出し、日本通信SIMのAPNを上書き設定したのですが、こんどはモバイル通信が全くできなくなってしまいました。
iPhoneを再起動しても、何度APN読み込みをやってもダメで、諦めかけた中、ふと、APNを消して何もない状態状態で読み込ませればと思いやってみて、なんとか成功しました。

また、iPhoneではAPN設定は1件しか登録できず(新しいのを読み込むと以前のAPN設定がなくなる、ただし前述のようにきれいに消してから新たに読み込むのが無難)、eSIMを含めSIMが2枚有効になっていても、データ通信では有効活用できない事もわかりました。
ちなみにAndroidではAPN設定は手作業でパラメータを手作業で設定する面倒さはあるのですが、複数個の設定ができるようです。

実は並行して、もう1台のiPhoneを母親用に新規購入して設定したのですが、こちらは、MNPの予約番号発行は電話にて(ガラケーでi-modeすら無効だったので)完了、eSIMの発行は自分のiPhoneのインターネット共有でWi-Fiを有効にしてこちらも完了、APN設定も完了と、自宅で全てスムーズにスッキリ無事に行えました。

まとめ:

  • モバイル回線の契約はすべて自宅でできる。eSIMの発行とMNP移行もすべてオンライン化されている。本人確認もマイナンバーカードを使う方式ならオンラインで瞬時。
  • 格安SIMおよび大手3社の格安サブブランドではデータ通信のためのAPN設定が必要。
  • iPhoneで物理SIMとeSIMの2枚差しにしても、格安SIMの場合はAPNが一つしか設定できないのでデータ通信では片側しか活用できない(音声の2回線化は可能)。AndroidはAPNを複数定義できる。
  • iPhoneでAPN設定を行う場合は、古いものを消してから新しく読み込んだほうがトラブルが少なそう。
  • LINEで年齢認証に対応した格安SIMはかなり限定的(SMS対応か、音声対応かの契約とは関係ない)

 [2023-10-31] スマホを修理してeSIMが消えてしまった場合や、機種変でeSIM転送がうまくいかない場合には、手数料を支払ってeSIMを再発行してもらえる。ただし、機種変の時、あるいは過去に機種変で転送したeSIMのときはEIDに注意、との体験談がTwitterに出ていました(Twtter @Takashi Yamamshitaさん ahamoのeSIMというか、ドコモのeSIMが難しすぎた)。
やってみないと気付かない依存性(SMS認証や、EIDや、修理でeSIMが消える)があって、まだ人類には少し早すぎる、って感じなのかもしれません。

2023-09-29

もう一つの刺客Meta Quest 3が登場したので、Apple Vision Pro、XREAL Air 2と横並びで比較

先日、Apple Vision ProとXREAL Air 2のどちらを選ぶかのための比較一覧を作りましたが、その後Metaから鳴り物入りでQuest 3が発表されました。

Questはヘッドマウントディスプレイ然としているので、わたしはウォッチしていなかったのですが、うわさを聞くにつれ気になりだしてきました。

Meta Quest 3の用途は、製品説明の次の言葉に集約されているのではないでしょうか。

  • 「好き」に火をつける 豊富なアプリで、ゲーム、フィットネス、ストリーミングを楽しめる

直接比較はやはり無理があるのかもしれませんが、全部買う訳にもいかず、なんとか横並びで比較してみたくて、ともかくやってみました。


Apple Vision ProMeta Quest 3XREAL Air 2
表示機能
PC/Mac/Android/iPhone/iPad/ゲーム機の外付けディスプレイとして✕ Macのみ(iPad?) ✕ PC/Macのリモートデスクトップ機能にて〇 HDMI出力はBEAMにて変換
仮想デスクトップ△ 1画面?〇 3画面、5画面(Immersedアプリにて)〇 3画面(NebulaのVirtual Desktopにて)
汎用ビデオ表示〇 USB-C DP-Alt入力、外付けアダプタ+HDMI変換ケーブルで入力(Air Casting)
映画モード〇 visionOSで表示〇 映画配信あり〇 Air Casting、さらにBEAMを使えばSpatial Display機能でサイズの調整が可能
透過型のコンテンツ表示〇 カメラ入力と自然に合成、クラウンで透過度を調整可能〇 カラーパススルー対応〇 物理的な透過型、Air 2 Proは3段階の透過度調整付き、BEAMで視界の隅への縮小表示も可能
センサー
ヘッドトラッキング〇 3DoFまで
ポインティング〇 視線、指〇 専用コントローラ、手ぶり(追加で全身のフルトラッキングも)✕ 従来のポインティングデバイスが必要、AR Spaceではスマホの動きをポインティングデバイスとして利用可能
視線入力〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能✕ (Meta Quest Proのみ)
ハンドトラッキング、指によるゼスチャ〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能✕(世代的には古くなるけれどXREAL Lightはハンドトラッキングを機能として持っていてアプリ開発可能)
深度センサー、空間マッピング✕(XREAL Lightは可能)
あつかえるコンテンツ
専用アプリによる3D/VRコンテンツ〇 visionOSで開発〇 エンタメ系VRアプリやVRチャットが豊富〇 SDKで開発、今のところAndroidのみ(PC/Macにも広がって欲しい)
YouTubeの3D/VRコンテンツの表示〇 3D SBS表示モード (side by side、Cardboardモード)での表示が可能(3840x1080ピクセル)、Android用アプリあり
ステレオスピーカー〇 空間オーディオ〇 空間オーディオ
画像入力、視力調整
カメラ機能〇 3D写真や3Dビデオも撮影可能✕(XREAL Lightは可能)
視度調整レンズ△ 高級なツァイスのみ?〇 眼鏡をかけたままでも利用可能〇 おそらく汎用的に作成可能(Air 1では限定ショップの特殊加工が必要)、眼鏡をかけたままでも実質利用可能か
物理面
軽さ△ ゴーグル型、450g程度△ ゴーグル型、515g〇 メガネ型、72g
入手可能時期△ 来年2024年末〇 2023年10月初旬出荷〇 Air 2は2023年10月中旬出荷、Air 1とLightは発売中
価格✕ 約50万円△ 7.5万円から〇 5.5万円

Meta Quest 3は、第3のゲームコンソールと言った感じで、VRチャット(チャットではなくて仮想空間にアバターになってダイブする)等のVR専用アプリを楽しむ、ついでに映画やリモートデスクトップアプリもある、という位置付けでしょうか。
Apple Vision Proは、既存のiOS/iPadOS/macOSに非常に近くて互換性もあるvisionOSなので、スムーズに垣根なく使えるようになっていると思います。
XREAL Air 2は、あくまで持ち運べる外部ディスプレイ(ARグラス)であって、キャッチフレーズからしても「Your screens and your internet experience on your eyes」となってるように、手軽にいつでもどこでも、既存のデバイスの画面をそのまま手ぶらで表示できるところを突き詰めていますね。

その人が中心的にやりたい事に合わせて選べるちょうど良い時代になってきた、ということが整理してみて分かりました。
(一体型VRヘッドセットを選ぶ場合、Quest以外の競合製品がすでにたくさんありますね)

[2023-10-01] 老舗のMeta Quest 3がやはりかなりの注目を集めているようですね。
ユーザが、VRチャットまでできる機能性を選ぶか、ARグラスの軽快性を選ぶか、もっと激しく競り合ってほしいものです。
ARグラスにも対応し、3DoFを生かしたAR/VRアプリやコンテンツもどんどん増えていってほしいものです。
横並び比較は、やってみてとても勉強になりました。

[2023-10-16] XREAL Air 2がいよいよ発売開始されました(直販サイト、それとAmazonヨドバシビックカメラのサイト(こちらそれぞれ現在1%ポイント還元)と実店舗でも)。
赤色モデルは予約段階で人気が高いようで11月17日まで延期されました。
専用アプリが無くて、単に映画を観たい、ゲームコンソールにつなぎたい、仮想デスクトップとして利用、の場合はXREALがかなり良さそうですね。
あとは、自分の使いたい専用アプリがどのプラットフォームで出てくるかがポイントになると思います。
それと最近、XREALさんはLondon Film Festibalの最中に大々的なデモを行ったり(ヨーロッパでも販売開始か?)、とても意味深なツイートをしたり(ファームウェアの新バージョン? Nebulaの新バージョンor Windows版? あるいは6DoFの新機種Light 2? あるいはAndroid以外の開発環境?)、ととても元気がありますね。

2023-09-23

Vision ProとアップデートされたAir 2を無理やり比較してみた

Apple Vision Proはたしかに良いものだけれど、だれもが購入には躊躇してしまう高級さ。
それに比べてXREAL Air 2(10月に出荷開始のAirのアップデート版)はすぐ手に届く手軽さと、軽量さが魅力。 

XREAL Air 2はひとことで言うと、早い・安い・美味いで、サイトの製品説明には出来ることとして次の機能が挙げられています。

  • Air Casting:大画面ディスプレイ
  • Spatial Display:空間の任意の距離・位置に固定したディスプレイ
  • Virtual Desktop:3画面の仮想デスクトップ
  • AR Space:専用アプリによる3Dコンテンツ
  • 追加Beamアダプタ:USB-C DP-Alt機能に制限があるゲーム機との接続、PC/Macとの無線接続、Air 2をバッテリ稼働、Spatial Display機能
  • 追加XREALアダプタ:HDMI入力接続

Apple Vision Proは、最高にゴージャスで、製品説明は以下。

  • 複数のvisionOSアプリを空間上に表示する、空間コンピューティング
  • 映画モード 
  • 空間ビデオ 
  • ペルソナをリアルタイム生成するFaceTimeビデオ会議
  • 近くの人とアイコンタクトできるEyeSight 
  • Macの仮想デスクトップ
  • visionOS専用アプリに加えて、iOS、iPadOSアプリの実行

お互いの製品説明だと直接比較できないですね。
Vision Proの廉価版としてのAir 2で満足できるのかを考えるために、無理があるかもしれないけれど、AR/VR/MR/Spatialビギナー(未満)のワタシですが、横並びでの比較表を作ってみました。


Apple Vision ProXREAL Air 2
PC/MacやAndroidやiPadの外付けディスプレイとして△ Macのみ(iPad?)
仮想デスクトップ△ 1画面?〇 3画面まで、NebulaのVirtual Desktopにて
汎用ビデオ表示✕?〇 USB-C DP-Alt入力、HDMI変換ケーブル、または外付けアダプタでHDMI入力、Air Castingにて
映画モード〇 visionOSで表示〇 Air Casting、さらにBEAMを使えばSpatial Display機能でサイズの調整が可能
透過型のコンテンツ表示〇 カメラ入力と自然に合成、クラウンで透過度を調整可能〇 物理的な透過型、Air 2 Proは3段階の透過度調整付き
ヘッドトラッキング〇 3DoFまで
ポインティング〇 視線、指✕ 従来のポインティングデバイスが必要、AR Spaceではスマホの動きをポインティングデバイスとして利用可能
視線入力〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能
ハンドトラッキング、指によるゼスチャ〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能✕(世代的には古くなるけれどXREAL Lightはハンドトラッキングを機能として持っていてアプリ開発可能)
MR、空間マッピング✕(XREAL Lightは可能)
専用アプリによる3Dコンテンツ〇 visionOSで開発〇 SDKで開発、今のところAndroidのみ(PC/Macにも広がって欲しい)
YouTubeの3D/VRコンテンツの表示〇 3D SBS表示モード (side by side、Cardboardモード)での表示が可能(3840×1080ピクセル)、Android用アプリあり
ステレオスピーカー〇 サラウンド
カメラ機能〇 3D写真や3Dビデオも撮影可能✕(XREAL Lightは可能)
視度調整レンズ△ 高級なツァイスのみ?〇 おそらく汎用的に作成可能(Air 1では限定ショップの特殊加工が必要)
軽さ△ ゴーグル型〇 メガネ型
入手可能時期△ 来年2024年末〇 Air 2は2023年10月中旬出荷、Air 1とLightは発売中
価格✕ 約50万円〇 5.5万円

こうして整理すると、なかなかますます悩ましいですね。
3Dコンテンツというか、ARアプリが汎用性・互換性を持って作れるになると良いんですが、まだもう少し時代が進まないといけないですね。
ARアプリ利用よりも、単に汎用ディスプレイとして使用する機会が多い(それだけでも十分面白いし、体験してみる価値はありますね)ならAir 2が潰しが効きそうですね。
空間コンピュータの違いを生かしたアプリがどれだけ出てくるかが、Vision Proの勝負どころでしょうね。

デスクでのOA作業ではさすがにARグラスや空間コンピューティングを常用することはないでしょうが(大画面の外付けディスプレイがあれば十分なので)、デスクを離れて気分を変えての作業や、外出先での作業、寝転んでのSNSのチェック、映画や3Dコンテンツを楽しむのが、活躍の場面になるのだと思います。
VRチャットのような全員がデバイスを持っている前提の使い方も、すぐには一般化は難しいと思います。

[2023-09-24] 空間識別処理(空間マッピング)を比較表に追記しました。

[2023-09-25] YouTube 3D/VRの表示は、SBSモードを使用して簡単にできる事が分かりました。

[2023-09-28] 3画面のVirtual DesktopはNubulaアプリを使用、AR SpaceではAndroidスマホをポインタとして使用可能なことを追記しました。 

[2023-09-29] ちょうどこのタイミングでMeta Quest 3が発表されたので比較表をアップグレードして新たに記事を起こしました。

2023-09-07

"Wonderlust" なApple Event 2023秋、再びハートマークなので、空間コンピューティングへの更なる期待を表明します

毎年恒例の秋のApple Eventが来週火曜日2023年9月12日の深夜26時からです。

新しいiPhoneを出さない訳はないとして、他の最大限の希望を書いておきたいと思います。

春のWWDC23もハートマークに変化するAppleロゴでした。
今回のテーマは Wonderlust - Wonderful と Wanderlust を掛けて「夢中の旅」となっています。
旅先でもワクワクの最先端デバイスを、ということは、これしかないですね。

  • M2 Apple Silicon版iPhone Ultraに、より軽量なメガネ型デバイスを接続して、どこでも大画面、空間コンピューティングを楽しめる。
    あるいは、MacBookとメガネ型デバイスを接続してどこでも作業ができる。
    さしずめこのデバイスはVision Air、表示とヘッドトラッキングのみに機能を絞って軽量・お手軽を優先する。
    Pro向けのフル機能の空間コンピューティングを実現するMac Proのような位置づけのVision Proと、日常的に空間コンピューティングを持ち歩いたり、コンテンツの消費(iPhoneに大画面を提供、音楽を持ち運ぶ、から映画館を持ち運ぶへ)や、既存デバイスの仮想ディスプレイを拡張する(MacBookに大画面を提供、操作はMacBookで行う、ハンドトラッキングは省略)ための軽量デバイスであるVision Airのラインアップ。
    この充実したラインアップを、いきなり揃えて、他社をさらに引き離すのです。

ちょうど今日、XRealから、本国のサイト限定告知ですが、Air 2、Air 2 Proが発表されました(製品ページと、ブログ記事(私には読めなくて雰囲気しか分かりませんが))。
軽量のメガネ型デバイスはどう考えてもトレンドですし、今の時代の主流です。

はてさて、この期待、盛りすぎのようにも思いますが、出来ちゃったりしますよね、Appleさん?
ハートを大きく揺さぶられる発表を期待しています。

 

[2023-09-13] Vision Airはもう少しお預けでした。
今回のロゴの粒子はチタンでした(オープニングのテザーの段階でうすうす気づきました)。

iPhone 15 Proではカメラを同時に2つ使って、Vision Proで視聴するための、Spatial videoの撮影ができるようになりますね。
visionOS以外用のSpatial videoのプレビューアプリも提供されることでしょう。

ところで、過去のApple Event (たとえばApple Silicon M1が最初に発表された2020年秋)を振り返りたいと思ったのですが、webサイト https://www.apple.com/apple-events/ では直近7件、2021年秋以降のものしか載っていません。
それ以前のものはPodcastに誘導されるのですが、残念ながらAppleデバイス以外では見ることができません。
少し調べて、Apple EventのPodcastのコンテンツへのリンクが見つかったので、ここからならどのデバイスでも見ることができます(Safariからの場合はPodcastアプリが開きます)。
直リンクは https://podcasts.apple.com/jp/podcast/apple-events-video/id275834665 です。

2023-08-20

今後は、左右分割キーボードは一体型キーボードとは別物と考えるようにしよう [自キ沼 #37]

Keychron K11 Proと自作Lilithの使い勝手を合わせようと試行錯誤して2週間が過ぎました。
早速、カーソルキーはfn1(MO(4))+IJKLに、左手親指の中央のキーにBackspaceを、テンキーをfn2(MO(2))+UIOJKLM,.に、割り当てて、Lilithと同様、ホームポジションから手を動かさずに使えるようにしました。
これは、結構快適です。

さらに、一体型のAliceキーボードでは、普段左右分割で使っている感覚からすると、右手と左手の開き具合がどうしてもまだ不足していると感じました。
そこで、右の図のキーマップのように右手側のキーを1文字ずつ右にずらした変則的な配列にしてみました。
こうしてみると、6のキーが右側に置けて好都合、かつ、アルファベットの入力はブラインドタッチでも何不自由なく自然に行えます。
しかしながら、結構使う / や ” が非常にもたついて全然ダメでした。

また、Magic Trackpadをラップトップのように真ん中手前に置くのが、右や左に置くのに比べて操作性が格段に良いので、そうしたい思いも強いです。
ポインティングデバイスを操作するのに、わざわざ腕を右や左へ大きく移動するのは、左右分割キーボードを使っている今の身となってはあまりにも疲れる動作と感じます。
標準キーボードでは親指の付け根が当たって、トラックパッドは手前には到底置けません。
Aliceキーボードなら、Lilithの時よりもかなり離して置きさえすれけば、なんとか使える状態になることがわかりました。
しかしながら、これだと机上のスペースを大きく取ってしまい、あまり理想的とは言えません(なお、右の写真なのですが、NuPhyのキーキャップに付け替えて、かなりイメージが変わっています)。

これらの違いを体験してみて、ある考えがうかんできました。
左右分割キーボードと、一体型キーボードは、同じ使い勝手にするのはもしかするとそもそもムリで、同じ目的の入力デバイスだけれど別物と考えたほうが良いのでは、と。
ちょうど、マウスと、トラックパッドと、トラックボールが違うように、です。

左右分割キーボードは、腕の幅や、腕の向き、更にはチルトやテンティングを自由に設定できるデバイスです。
一方の、一体型キーボードは、左右一体ケースで固定された安定性、左右をできるだけ詰めてコンパクトにする設計思想、キースイッチの連続的な整然とした配置を目指したデバイスだと思います。
同じキーボードの仲間ですが、使う側として違う向き合い方になる、と思いました。
これは、もう割り切って、違うタイプのデバイスと考えて、頭を切り替えて使うしかないと思いました。

この投稿は(変則的な配列に今のところはなっている)市販キーボードのKeychron K11 Proで作成しました。

2023-08-08

Keychron K11 Proを到着初日にさっそく分解してみた [自キ沼#36]

Keychron K11 Proを発売初日に購入し、5日目に手元に届きました。

メーカー製品としてキッチリとした造りに満足ですが、改造したいウズウズがどうにも止められず、下調べとしてまずは開腹してみました。
おそらくKeychronのキーボードの設計方式は目に見えるスペックの差以外は全機種共通だと思うので、他の機種の方にももしかしたら参考になるのかもしれません。

  • まず、K11 ProおよびK Proシリーズのケースはアルミニウム、ボトムは樹脂です。ケースがプレートと一体になっていて側面までカバーしていますが、マウント方式はいわゆるサンドイッチマウント構造です。プレート面に11個のネジ頭が出ていて、これを外すとボトムの板が外れます。この時、スイッチを外す必要はありません。内部のPCBは、ボトムから伸びたスペーサー穴で浮かんでいてネジ等で固定されておらず、スイッチの足だけで支えられています。
  • スタビライザーはルブされていますし、使用されているGateron Low Profile 2.0スイッチもファクトリールブ仕様です。プレートースとPCBの間、PCBとボトムの間に空間があるので、使い方によっては反響音が響きます。良い音なのだと思いますが、音量をなんとかしたいと感じました。
  • 次にPCBに関して、キーの右ブロックと左ブロックそれぞれ用にシフトレジスタが設けられています。コントローラとの接続は少ないピン数おそらく2本だけで接続されているようです。これならフルサイズのキーボードからテンキーパッドまでの幅広い製品全てに、キーマトリックスのピン数を気にせず対応できますね。
  • コントローラMCUのコアは、QMKファームウェアのinfo.jsonの記述からSTM32L432 (Arm Cortex-M4) です。QMKファームウェアのソースコードはまだベータ(プルリクエスト中)ですがすでに公開されています
  • コントローラのMCUチップは、Bluetooth機能を内部に持ったシングルチップのCYW20730A2KFBG(汎用名 BCM20730)です。このMCUチップが載った端面スルーホール接続の汎用モジュールが使用されています。心臓部が共通化されているんですね。検索してなんとか調べたところこの汎用モジュールは、ITON TechnologyのBT3GMD-B47Pかその後継のようです。データシートが公開されているので空きポートをQMKで自由に制御できる可能性が広がりました(しめたものです、こういうところの柔軟性がKeychronさんは良いですね)。I2CやADCポートもちゃんと引き出されているようです

今回は、一般的ではないかもしれない、自分の知りたい観点でレビューをさせていただきました。

この投稿は自作Lilithキーボード(LilithKbd)を使って書きました。


[2023-08-12] Keychron K11 ProのQMKファームウェアのソースコードの正式版が公開されました。

2023-07-30

アナログジョイスティックデバイスを最新のQMK Firmware 0.21に対応してみた [自キ沼#35]

見慣れたNintendo Switch Joyconのアナログジョイスティックの保守部品を、以前から自作のLilithキーボードに組み込んでいます。

当初はQMK 0.12上でアナログデータを直接読み取ってマウスポインタ移動情報を生成していましたが、思ったほどスムーズな動きが実現できていなくて、メイン利用のMagic Trackpadを無くすにはまだまだです。

QMKの最近のバージョンを見ていると、アナログジョイスティックのドライバが少し前から提供されるようになっています。
このドライバが、QMK 0.21の設定だけでどこまで使えるかを今回試してみました。

ADC(ADコンバータ)入力はPro Microのほぼ全てのピンでサポートされています。
どのピンに接続するのかはconfig.hで設定します。
マウスボタンをレイヤに定義するだけで動作する自動マウスレイヤ機能や、左右分割キーボードでホストに接続していない側にジョイスティックがあっても動作させられるsplit pointing機能も、使えるようになりました。
以下、QMKに設定した内容です。

rule.mk :

POINTING_DEVICE_ENABLE = yes
POINTING_DEVICE_DRIVER = analog_joystick 

config.h :

// アナログジョイスティックの基本設定
#define ANALOG_JOYSTICK_X_AXIS_PIN F4 // ADC機能のある任意のピン
#define ANALOG_JOYSTICK_Y_AXIS_PIN F5
#define ANALOG_JOYSTICK_SPEED_REGULATOR 5 // default 20
#define ANALOG_JOYSTICK_SPEED_MAX 1 // default 2
// 自動マウスレイヤ機能
#define POINTING_DEVICE_AUTO_MOUSE_ENABLE
//#define AUTO_MOUSE_DEFAULT_LAYER 3 // 今回はkeymap.cで設定した
// 左右どちらのPro Microをホストに繋いでもジョイスティックが動作するように
#define SPLIT_POINTING_ENABLE
#define POINTING_DEVICE_RIGHT

keymap.c :

void pointing_device_init_user(void) {
    set_auto_mouse_layer(3);       // 今回はレイヤ3にKC_BTN1とKC_BTN2を置いた
    set_auto_mouse_enable(true);
}

最新のQMK Firmwareのアナログジョイスティックドライバで良い点は以下です。

  • 上記の簡単な設定だけで、ポインタ動作がある程度スムーズに動作するようになります。操作に慣れればこれだけでも日常使いできるかもしれないレベルです。
  • 抵抗値の変化でアナログ的に出力をするジョイスティックであれば、どのデバイスでも汎用的に対応できそうです。たまたまなのかもしれませんがセンターの抵抗値のキャリブレーションなしで問題なく動いています(ソースコードを確認しておきます)。
  • 自動マウスレイヤや、split pointingなど高度な機能を実現できます。

 この方式の現状の課題は以下です。

  • Joyconのアナログジョイスティック部品は0.5mmピッチのFPCリボン接続です。コネクタの手ハンダは(私には)無理なのでPCBA必須なのが費用的に少し不利です。PSP用の部品など他のデバイスも試してみたいところです。
  • ポインタ動作はほぼスムーズなのですが、小さな動きが少し難しいのと、大きく動かすのもじれったい感じがあるので、移動量データに補正を入れるなどして、なんとかしたいところです。
  • ポインタ操作でスクロールするモードも試してみたのですが、スクロール速度が速すぎるのを調整できていません。他の仕組みのポインティングデバイスであればCPIの設定等があるようなのですがアナログジョイスティックではできません。何が起こっているのかもう少し解析が必要です。

完成形まで後少しといったところかな、と思います。

この投稿は自作Lilithキーボード(LilithKbd)を使って書きました。

2023-07-26

AZ1UBALLをPro MicroでQMK Firmwareな自作キーボードで使うための検証をした(Pro MciroとRP2040) [自キ沼 #34]

AZ1UBALL(BOOTHの購入ページ、githubの技術情報)を現時点の最新のQMK Firmware version 0.21.3で動かしてみました。
最新のQMKを使うと非常に少ないコードで対応できました。
まだ実験なので、SU120から空中配線しています(写真は載せませんがお察しください)。

ポインティングデバイスのドライバの説明はこちらです。
Pro Microとの接続ピンは、I2C通信なのでD1とD2で固定です。
以下、QMKに設定した内容です。

rule.mk :

POINTING_DEVICE_ENABLE = yes
POINTING_DEVICE_DRIVER = pimoroni_trackball

config.h : ポインタの移動速度、2倍が限界、これ以上だとポインタが飛び飛びになる

#define PIMORONI_TRACKBALL_SCALE 10    // default 5

keymap.c : 加速度モードを設定しようとしています、必須ではない

// AZ1UBALL
void pointing_device_init_kb(void) {
    uint8_t addr=(0x0a << 1 );        // ic2 address with 1bit shift up
    //uint8_t data[]={0x90, 0x00};    // AZ1UBALL normal speed mode
    uint8_t data[]={0x91, 0x00};      // AZ1UBALL accellaration mode
    uint16_t timeout=100;             // in milli-seconds
    i2c_status_t status;
    status  = i2c_transmit (addr, data, 1, timeout);
    //if (status != I2C_STATUS_SCCESS) {
    if (status != 0) {
        return;
    }
}

AZ1UBALL を実際に試してみて良いな、と思った点を挙げます。

  • 触感:どういう仕組みなのかわかりませんが、操作するとジ、ジ、ジと指先にクリック感が来ます。これがとても良いフィードバックです
  • 細かな操作:細かな操作はとても直感的に行えます
  • QMKですぐ動作:I2C接続のPiromoni互換のトラックボールとして設定するだけで動きます
  • 1u、ロープロファイル:16mm角の正方形なのでキーボードの1uの余裕で収められます。また、ソケットプレートの上に置いて、ちょうどロープロファイルキーボードのキートップと同じくらいの高さに抑えられているので、デザインの自由度が大きいです

工夫して使わないと、と思った点もあります。

  • 移動速度:タブレットくらいの画面までは快適なのですが、大画面では難ありと思いました。ボールが小さいので一度にたくさん動かせないのと、同方向に慣性で転がし続ける動きができません。keymap.cで0x91の加速モード設定も試してみましたが、それほど違いが出ませんでした(設定できていないのかもしれずもう少し調査必要)
  • 天面の処理:低頭の小ネジの頭が天板に出ているため、操作の際に邪魔に感じることがありました。3Dプリンタ等でケースを作った方が良いのかもしれません
  • キーボードへの固定方法:基板への実装は、2.54mmの標準ピンヘッダでのハンダ直付けかソケット化しかなさそうで多少心許ないかもしれません。ネジでしっかりと固定する方法があれば良いのですが。また、側面が空いているのでケースで覆うかマスキングテープでカバーしたいです

このAZ1UBALLと、Joyconアナログジョイスティック(それと、もしかして秋月電子のPSPアナログジョイスティック部品も、あとジャンクのトラックポイント部品もあったような)は並行して試していきます。

この投稿は自作Lilithキーボード(LilithKbd)を使って書きました。


[2023-08-24] Yuta Sakaiさんがコードのスペルミスと、i2cアドレスの指定方法の誤り(QMKのi2cアドレス指定方法の説明箇所)を見つけてくださいました(Twitterでのやりとり)ので、手直ししました。
さらにこの方は、加速度機能の動的ON/OFF、感度の動的変更と、気の利いた追加機能まで考えられています。
コチラの記事に掲載されています。

[2023-12-29] QMKをRP2040(Raspberry PI PicoやRP2040-Zero)で使う場合の設定です。
m.kiさんのTwitter投稿「AZ1UBALLをqmk0.22.3とRP2040-Zeroで試してみました (2023-12-26)」と、よしザウルスさんのブログ「QMK FirmwareをRaspberry Pi Picoで使ってみる (2022-07-24)」からの転記です。

rules.mk :

POINTING_DEVICE_ENABLE = yes
POINTING_DEVICE_DRIVER = pimoroni_trackball
I2C_DRIVER_REQUIRED = yes

halconf.h :

#define HAL_USE_I2C TRUE

mcuconf.h :

#undef RP_I2C_USE_I2C0
#define RP_I2C_USE_I2C0 FALSE
#undef RP_I2C_USE_I2C1
#define RP_I2C_USE_I2C1 TRUE    # 例

config.h :

#define I2C1_SCL_PIN GP27    # 例
#define I2C1_SDA_PIN GP26
#define I2C_DRIVER I2CD1    # 例

2023-07-13

次のLilithは...2台同時進行で制作する!? [自キ沼 #33]

ロープロファイル&左右分割Alice配列の自作キーボード、わたしのLilith v2.5を1月に作ってからもう半年が経ちました。
自分としてはなかなかのお気に入りで、ざっくり80%以上の満足度と言ったところ。
もう日常的に手放せないキーボードになっています。

強いて挙げれば次のような難点が残っていて、改善版を作りたい気持ちはなえていません。

  • ポインティングデバイスのチューニング:
    ある程度は操作できるのですが、加速度の調整がまだまだだと思っています。
    アナログジョイスティックでアナログ値そのままではなくて、ゆるやかに段階的にギアチェンジするような感じが良さそうです。
    いわゆるマウスボタンの左右ボタンの配置もまだしっくりきていません。
  • Numキーの位置:
    親指ブロックの長いEnterキーの右側に置いているので、親指を少し捻って押すことになって、少し辛いです。
    左手親指のBackspaceとCmd(Win)の押し間違えも、手探りで区別しにくいためか多いです。
  • バックライト:
    目立ちたがり屋の電飾ではなくて、暗がりでもキーキャップの刻印が見えるようにする実用的なバックライトがやはり欲しいです。
    やれやれ、キーキャップの選択肢がさらに狭まってしまいますね。
  • USB-C左右接続:
    抜き差しでどうしてもショートしてしまうTRRSを排除したいです。
  • Gateron low profileスイッチが抜けやすい:
    GLPは足が細めで短いのと、プレートに引っかかる爪が弱いようで、キーキャップを抜こうとすると一緒にスイッチまで抜けてしまいます。
    基板をもう少し薄くしてソケットに深く挿さるようにする、プレートの穴をもう少し狭くするなどの対策を打ちたいです。

また、現状のLilithが7.5x4と多めの70キー(左右4行のうち8列と7列が半々なので7.5x)なのに対して、5x3または6x3の縮小キーボードも、実際使ってみてどんな感じなのか大いに興味があるのは、最近投稿しているとおりです。

前置きが長くなってしまいましたが、あれこれ試行錯誤中のキー配置をいったん図にまとめてみました。
標準サイズLilithとLilith miniです。

miniの方は、最初5x3あるいは5.3x3と攻めたやつ、と思っていたのですが、やはり6x3くらいの方が使いやすそうと思っています。
タイマーによるキー長押しレイヤ移動はわたしの指癖には合わないようで、やはり嫌なので、親指ブロックも多めです。
6x3と小指ブロックが2列に増えたので、Alice配列に寄せています。
憧れのCorne(crkbd)のレプリカとまではいきませんが、Corneの形状をインスパイアしています。

上記に加えて、今回の制作上のチャレンジポイントは以下です。

  • 標準サイズLilithの親指ブロックの配置がまだしっくりきていません。
  • Lilith miniは、この際なので、さらに攻めて、よりロープロファイルのmini chocを試してみようかと思っています。
    キーキャップはchoc v1と共通で、高さがさらに2〜3割減できます。
    ソケットがないので、Mil-Max(や、その類似品)でどうかと思っています。
  • いずれもリバーシブル基板は継続したいです。
    現状のLilithは左右で行のズレを変えていて、左右のスイッチの上下(南北)を変えないと収まらないくらいリバーシブルが限界ギリギリなのですが、Jones配列を参考に左右対称にしてやれば配置の余地が増えて、バックライトLEDも入れられそうです。
  • QMK Firmwareのバージョンアップをしておきたいです。
    現状はSU120用の古いものそのままです。
    最近のQMK Firmwareでは、アナログジョイスティックも標準サポートされて、ポインティング速度のパラメータ調整の自由度と、ポインティングレイヤでキーを共有できそうなのですが、これもまだ試せていません。
    現状のJoyconアナログスティックは0.5mmピッチのFPCコネクタがネックなので、AZ1UBALL(こちらは固定と配線が悩ましい)も試してみたいです。
    こちらもI2C接続のポインティングデバイスとしてQMK Firmwareで標準サポートされています。

2台並列制作をやっちゃうのが良いのかどうか、悩ましく、うれしい悲鳴をあげています。

この投稿はLilithキーボード(LilithKbd)を使って書きました。

2023-06-18

キーボード表面がタッチパッドになるMokiboをついに入手 [自キ沼 #32]

前々から気になっていたMokiboをついに入手しました。

まずは実機での感想から。

  • 18mmの狭ピッチなので、標準ピッチと5%の違いとはいえ、意外と慣れるまで苦労しそうです。
  • 静電容量無接点と称するキーの感触は、タクタイル感がはじめにあって、押した後すぐにコツンと底打ちします。1.5mmの極端に短いキーストロークなので好みが分かれるかもしれません。
  • 自動切り替えのキートップタッチパッドは、いい感じで切り替わってくれます。ポインタ移動とスクロールは全くと言っていいほど自然に使えます。旧機種は切り替え用のボタンがあったのですがもう不要になっています。Back/Forwardはスクロールと2本指操作を共有しているため、どう区別して発動させるのかのコツがまだ掴めていません。
  • iPadをポートレート縦置きでも使えるカバー兼スタンドは他になかなかないので、その点でも優れものです。
  • キー数はほぼ過不足ないのですが、Page Up/Downがキートップに刻印がないのでキーコードが出るのかどうか要調査だと思っています。

製品のページはこちら https://jp.mokibo.com/ です。

赤いラインがアクセントの初号機が何年も前に出ていたように思い、製品のリリース履歴を辿ってみました。

わたしが自作キーボードを始めた動機のひとつが、ポインティングデバイスとキーの操作の行き来をできるだけ手を動かさずに行うことだったので、Mokibo Fusionはこれを叶えてしまう一種のいわゆる脅威です。
しばらく使って、またレポートしたいと思います。

この投稿はMokibo FusionキーボードをiPadに接続して書きました。

2023-06-03

"A new era begins." なWWDC23で一喜一憂しないために、じぶんなりの期待はMac Pro、AI、XRと表明しておく

今年のWWDCは、どことなくいつもと違うようだ、とそこかしこで言われていますね。
Apple自身の告知でも "Code the new world." とか "A new era begins." とか、大きく構えてきています。

世間で取りざたされているうわさや予想に流されて一喜一憂するのは、WWDCの本来の楽しみ方ではないはずです。
なんとか最高の状態でWWDCを迎えたく、どうすればよいか考えたところ、やはりじぶんの期待と言うか希望を表明しておくべきと考えました。

わたし希望するトピック3題は、

  • M2 Mac Proの実機、またはM3 Mac Proの概略(拡張性を入れ込むのにM3世代までかかりました、準備は出来ているけれど、もう少しだけ待ってね)の告知。
  • LLM (AI) をMacBookやiPad ProのNeural Engineでローカルで実行するツールキットと、学習済みモデル。Apple Siliconの有効性がまだまだ続くことをここでも示すべき。
  • 長らく待たれている、XR。Appleならどう具現化するかを見せて欲しい。使いやすいARはすでにLiDARスキャナやジャイロセンサーで実現しているAppleなので。

です。
この中から2つ以上を出してほしいです。
そして1つは "One More Thing..." として。

さてはたして、どんなWWDC23になるのでしょうか。 


[2023-06-08] とうとう満を持して One More Thing が来ましたね。
いつも製品の転換点で出てくる hello が、今回はSpatial空間にて。

こんな時に限って、お勉強の時間が取れない。。。

[2023-06-21] このhelloの物体をよく見ると、あまりにも自然に実空間に溶け込んで、影までついて、そこに物体が実際にあるかのような3Dイメージとして、視界全体が生成されていますね。
このリアリティがあってはじめて、違和感なく空間でコンピューティングする自然さが引き出される、自分の体の一部というか、肌感覚として受け止められる、Appleはそこまで突き詰めて作り込んでいるんですね。

2023-05-25

ワカコ酒 Season 7 が2023年7月から

また酒飲みドラマの紹介です。
このブログで一度も紹介していなかったのが不思議なのですが、あのワカコ酒の続編が始まります
いつものワカコさんの髪形ですが、そうあの空手で瓦を割るアクション系のお方です。
いつもの、ほっこりが楽しみです。

2023-05-20

あこがれのCorneが欲しい、自分好みにカスタマイズして [自キ沼 #31]

自作キーボードの代名詞といえば断然Corne (crkbd) で(あくまで個人の見解です)、わたしのあこがれとも言える存在です(遊舎工房にてCorneシリーズ)。

ぎゅっと詰まったシンプルさ、ベゼルレスのすっきりした形状、何よりも自作キーボードらしい左右分割カラムスタッガードの配列。
遊舎工房で現物を見た時も、なにかこう特別な存在感を放っている感じがしました。
そうです、こういうのを、エモいというのがピッタリです。

ところが残念なことに、ひとつだけどうしても譲れない点があって、今までずっと手を出せずにいました。
それは、

  • Cのキーを人差し指で押したいのに押せない
    (カラムスタッガード共通の悩み、教科書的には正しいけれども)

からです。
であれば、単純にロースタッガードやAliceに寄せれてやれば良いかといえば、今度は別の優先事項が頭をもたげてきます。

  • 左右基板のリバーシブル化を、
    キー配列自体と同じくらい重要視している

この2つのハードルのために、欲しいのに手を出せないままで今まで来てしまいました。

先日の投稿で紹介した Jones配列キーボード(さらにロープロファイル版のNora立体配置に発展したSandyも) は、作者の @jpskennさん も提案されているように、いろいろな形状のキーボードに応用できます。
わたしも、アジャスタブルキーボード以外にも、と思いを巡らせていました。
そんな中、ついに思いついたのが、CorneへJonesのアイデアの応用です。

右の図がその結果です。
どうでしょう、Corneの一種に見えませんか?

  • せっかくならと5x3にしてみました。
  • Jonesのアイデアから、Cキーは人差し指と中指のどちらでも押せるように行を0.5uだけスタッガードしています。
  • 左Shiftキーや、親指のCtrl、Alt、Cmdなどのモディファイアとなるキーは、Corneliusのように追加増量しました。
  • 左右リバーシブルです。

今回は制作の付加価値としてRGBバックライトにも初挑戦してみようと思います。

さらに2番目の図では、

  • 小指の短さに合わせた、小指ブロックの配置(AliceやLilithで良好なことを実感)

にしてみました。
小指の長さは人それぞれとは思いますが、標準キーボードでは薬指のOに比べて小指のPがちょっと遠くて押しにくいと感じませんか。
小指キーは薬指キーから少し離れている方が力を自然に入れやすいと思います。
行やカラムの連続性が崩れた見た目になってしまいますが、小指の自然な位置を考えると、意外と使いやすそうです。
この配列もチャレンジしがいがありそうです。

最後の図がオリジナルのCorneの5x3配列です。
わたしには、もう不思議と、一連のシリーズのようにしか見えなくなってきました。

標準キーボードからの移行をもっと重視するのであれば、小指キーや数字行も追加して6x4あるいは7x4にしても良いかもしれません(もはやCorneではなくなるかも)。

ひとつの作品の制作に取り掛かろうとしている中でも、色々と別の新しいことを考えてしまうのは、自作キーボードのひとつの楽しみですね。

さて、この配列のキーボードの名前ですが「Corn and Jones inspired Lilith nano」「コルネのテーストにジョーンズのアイデアを加えたLilithのnano版」といった感じなのですが、まだちょっと煮詰まっていません(笑)。

この投稿はLilithキーボード (LilithKbd) を使って書きました。

 

[2023-05-23] 完成イメージをKLEで描いてみました。
5x3なのでキーキャップはカスタムレジェンド必須と考えました。
今回のレジェンドは単色で、自分のお気に入りのキーマップを描いています。
小指のQとPはAlice配列にもっと近づけてみました。

2023-05-04

Lilithキーボード概要まとめ [自キ活#30]

自分にとっての理想のエルゴノミクスキーボードを求めて、分割Alice配列を発想したのを契機に、自作キーボード作成に取り組んできて、ちょうど一年が経ちました。

このLilithキーボードは先人の知恵をありがたく活用しつつ、自分でも色々と考えて作ったものです。
在庫を持って配布するのはちょっと次元の違う大変さがありそうなので、ゆくゆくは設計データをGithub等に公開していければと考えはじめています。

まずは最初のステップとして、Lilithの作成中の各バージョンの工夫点や特徴を、出来るだけ簡潔にまとめてみました。

Lilith共通の特性
  • Split Alice配列。手首や肩を楽に、小指も楽に
  • ロープロファイル。ボトムケースはキーソケットの厚みギリギリまで削減
  • リバーシブルPCB、左右同一サイズ
  • ホットスワップ
  • Joyconジョイスティック
  • 親指ブロックの1.5u Spaceキーを縦に配置し親指のホームポジションを明確化
Lilith v0.9
  • SU 120による自作キーボードの仕組みの検証
  • 具体的なSplit Alice配列のおおよその確定
  • v1.0 FR-4プレートの検証
Lilith v1.0
  • Kailh choc v1スイッチ
  • 自身初PCBかつ初PCBA。JoyconジョイスティックのFPCコネクタが0.5mmピッチで手ハンダできないため
  • 右手に対して、左手はQ行とA行の間でPCBをカット、横に0.25uズラして、リード線で配線し、左右の配置の違いを擬似的に実現
  • FR-4プレート。プレートは左右別々にならざるを得ないけれど、ボトムプレートと共有することで節約
  • 右手側のジョイスティック部分は、低くするために基板を切り抜いて設置、左手側は通常キー用配線パターン、の選択式
  • FR-4積層ソリッドケース。PCB上下の空間をソリッドに埋めて音漏れを防止。100x100mmに収まるように分割したので組み立てが大変
Lilith v1.1
  • 3Dプリントによるソリッドケース。ロープロファイルで体積が小さいので、それほど高価にならない。パーツ点数大幅削減
Lilith v2.0
  • Gateron low profileスイッチ採用。chocよりかなり質感が良い
  • 右手に対して、左手はQ行とZ行を0.25uズラして配置することによるリバーシブル基板。配置がギリギリで、右手のソケットはNorth Facing、左手のソケットはSouth Facingと逆向き
  • 親指ブロックは1uと1.25uの組合せで配置
Lilith v2.5
  • 親指ブロックの2.25u Enterキー対応の配列。キーキャップのアクセントカラーを活かすため
  • PCBの右手Menuキーの位置にBug。ケース側を削って実装

Lilithはもう自己評価80%の満足度&出来栄えで、日常的にフル稼働中です。
もう普通のキーボードには戻れません。
やり残しているアイデアがまだあるので、Lilithはもう少しバージョンアップを続ける予定です。
(少しネタバレ:VCCのショートの恐れがあるTRRSに代えてUSB-Cに、Jones配列を参考に左右を対称配置に、Keychron Lowprofile Opticalスイッチでさらにもう少し薄型に。)

ところで、Lilithの名称は、富野アニメに登場する妖精(有翼人)から来ています。
主人公の頼りになる相棒であることと、言葉の響きが良くて、いつか自作の何かの名前に使いたいと温めてきた名前です。
左右分割Aliceキーボードがちょうど妖精の翼のように広がった形なので、われながらとても気に入っています。

この投稿はLIlithキーボードを使って書きました。

 

[2023-05-06] 各バージョンの初出のTwitterツイートへのリンクを貼りました。
見返してみると、ブログの方は全然タイムリーに投稿できてきませんでした。

[2023-07-26] Lilith だと検索で特定しにくいので、LilithKbd のキーワード併記を自分の中では統一していこうと思います。

2023-05-01

よりコンパクトでエルゴノミクスなアジャスタブルキーボードをつらつら考えた [自キ沼#29]

かつてのApple ADB Adjustable keyboardは、わたしがエルゴノミクスキーボードの夢を抱くことになった原点のキーボードです。
現在の市販のエルゴノミクスキーボードは巨大なものばかりで、自分のデスクに置きたくなるものがありません。
無いなら自分で作るしかない、わたしが自作キーボードを始めた第一の理由はこれです。

Apple Adjustable keyboardを現代的なキーボードとしてなんとか実現したいと思い続けている中で、今回ようやく一つの解が見えたような気がしてきました。
右の図がその姿です。
以下、今回のアイデアに込めた・込めたい思いです。
いつもながら、思いつくまま綴ります。

  • 左右分割式か可動式か:
    Apple Adjustable Keyboardのように可動して好きな角度で利用できる方式も良いのですが、お気に入りのMagic Trackpadを、お気に入りの手前のポジションに置くことができません。Lilithではそれを許すために、あえてAlice配列で分割型にしました。もちろん、トラックパッドやマウスやトラックボールを素直にキーボードの右や左に置けば良いのですが、どうしても手の移動量が大きくなって、せっかくエルゴノミクスで楽な姿勢で使えるようにしているのが、半分犠牲になってしまいます。キーボード単体でポインティングまでできればとの思いで、ジョイスティックモジュールの組み込みの模索は継続しています。今回の配列では、分割ではなくApple Adjustable Keybordのように可動式にします。
  • 右手と左手で、手の向きと行の傾きが違うのを軽減したい:
    Apple Adjustable keyboardのように、単純に標準キーボードのカラムスタッガードを左右分割して手首の向きに沿うように傾けただけでは、左右とも行が依然として右下に傾斜して左右で非対称です。これでは、それほどエルゴノミクスとは言えないと考えています(以前の投稿での考察)。自作のLilithでは右手側のズレを緩やかにすることでこの差を緩和しようとしています。結果、この約半年間、自分としては気持ちよく使えていると思います。
  • 基板をリバーシブルにしたい:
    JLCPCB等への基板発注は5枚単位なので、リバーシブルにすることで余剰基板を最小限にしたいところです(1回の発注で5台分にもなるのを2.5台分に抑える)。現状のLilithでは左右を反転した時にQとZの行が左右で0.25uズレていて、左右でスイッチの上下を反対にしてようやく収まるくらい配置に苦労しています。
  • さらに進めて、Jones配列で完全リバーシブルに:
    最近、Twitterでのやり取りの中で、@jpskennさんJones配列に出会いました。Jones配列は、左右対称のシンメトリカルスタッガード(サリチルさんの分類)で、非常によく練られた配列だと重ました。これを見た時、まさに目から鱗が落ちました。これなら手の向きに対する行の傾斜が左右で同じになり(右手Jの右下のMを人差し指、左手Fの左下のCを同じく人差し指で押すスタイルの場合です(Cを中指で押すスタイルの人はカラムスタッガードじゃないと解決しない))、そのうえ分割した時の左右の基板のキーの配置が完全に一致します。なお、センター下のジョイスティックとBキー、それとポインタボタンの有無は切り取り選択式とします。
  • 極小コンパクトキーボードへのチャレンジ:
    先日来、Lilithで5x3あるいは6x3のミニサイズの配列を模索しています(先日の投稿)。単純に標準キーボードのキー数を削っただけのコンパクトキーボードでは手首に対するエルゴノミクスが実現できないことは自明の理です。Jones配列は行が水平なまま手首への負担を小さくする発想ですが、私はこれをさらに進めて、左右分割にして手首に対してより自然なな角度に調節できるようにすればもっと良いと考えました。また5x3まで縮小するのなら1列だけになる小指担当のキーはあえてAlice配列にしなくても良さそうです。
  • 長押しモディファイアは使いたくない:
    5x3配列のキーボード(QAZまで切り詰めるので「QAZ配列」とも言うんですね)では、キー数が不足する対策として、同時押しモディファイア、あるいは長押しモディファイア(Zを単体で押すとZ、ZとJを押すとShift/J、あるいはA+CでCtrl/C、Ctrl/AはL+A)がよく使われます。長押しかどうかの判断にはタイマーが使われます。これは以前試してみたのですが、キー入力のリズムをいつも厳密に揃えないといけなくて、少しでもキーを押している時間が短かったり長かったりすると途端に誤爆、自分には全く合いませんでした。CtlやShiftやレイヤなどのモディファイアキーは主に親指ブロックにフル装備して、キーボード配列としてうまくまとめるべきと考えています。

その他、Lilithから引き継いでいる特徴です。

  • できるだけ標準サイズのキーキャップが合うようにしています。
  • ロースタッガードの標準キーボードと指運びがほとんど変わらないようにしています。
  • 親指ブロックとメインブロックの間には0.25uの隙間をあけて、親指で最下行のキーに誤って触れないようにしています。
  • また、親指ブロックのBackspaceとSpaceは1.5uの縦置きにして、親指のホームポジションが明確になるようにしています。
  • 中央にジョイスティックを配置して、ホームポジションにいながらポインタ操作ができるようにしています。
  • 配列に直接は関係ないですが、ロープロファイルは継続するつもりです。

このキーボード、Jones にあやからせていただいて Lilith mini-J と名付けたいと思います。
いつ製作・完成するかはわかりませんが、思いついた構想が自分でも気に入ったので、まずはブログとして記しました。

最後に、Apple Adjustable keyboardの、オリジナルのカタログに載っていたであろう写真です。
いま見てもエモいというか、少し生物的と言ってもいいデザインだと思います。

この投稿は自作Lilithキーボードで書きました。

[2023-05-02] ケースも考えました。
中央上端にヒンジでアジャスタブルにして、補強のために下端には円弧のガイドレールがいるかなと思います。
左右の接続をどうするか、見えにくい場所にケーブルを隠すとか、コネクタにして長いケーブルに替えて左右分割も出来るようにするとか(無線だとバッテリが場所を取るのが悩み)。
直線の時にはマグネットでくっ付けても良いかも(強力すぎると小さな角度の時にもくっついてしまうかも)。
なお、わたしはロープロファイル派なので、パームレストは考えていません。

ところで、基板は高さ4.5u、幅7u(左右共通で、左手側は中央の不要部分をカットして使う)と、もっと切り詰めれば100x100mmに収まるかも、と期待してしまいそうなところですが、キーボードとして最低限成り立つのが優先事項なので、考えないことにします。
またそう考えるのならいっそ、5x3(+1、左Shiftの分)じゃなくて6x3(-1、Z行は現状から増やさない)にすれば、0.5u増えるだけで、Tabやクォーテーションマークが格段に使いやすくなるかもしれませんし(QAZ配列は目指さない、本当に使いやすくなるかはある程度の期間やってみないと分からないところ)、あるいは数字行も入れて6x4にしてしまうとか(色々考えてすぎると今回のキーボードでの設計目標・主眼がブレてしまいますね)。

2023-04-09

Mac Pro用のApple Siliconをふたたび想像・予想してみた

AppleさんからApple Silicon Mac Proがなかなか発表されませんね。

どんなマシンになるのか期待が膨らむばかりですが、Mac Proの前にまずは、Apple Siliconの製品ラインナップ全体について考察してみたいと思います。

Apple Siliconの各チップの位置付けを考えるとM2は上位のM1 Proを超えたくても超えてはいけない制約があると言えます。
つまり、

M1 < M2 < M1 Pro < M2 Pro < M1 Max < M2 Max < M1 Ultra

の絶対的な序列があります。
M2は、M1のたかだか1.2倍のパフォーマンスアップという凡庸な進化となっていて、Intel MacからApple Siliconに変化した時の3倍のブーストを知ってしまったわたしたちには、とても物足りない感じにならざるを得ない宿命があります。

これを何とか打破するため、次のようにしてみてはどうかと考えました。

  • 案1:Proグレードは廃止。
    序列による縛りが緩和されるので、1世代で1.5倍や2倍とかのブーストをしても良くなる。

  • 案2:iPhoneのような1~2年の短いサイクルでのリリースをやめて、2~4年つまり現状で言うところの1世代飛びのリリースにする。
    たとえばM3はM2 Proを超えてはいけないけれど、M4ならM2 Proを超えても全然良いのです。ネーミングはさておき、偶数または奇数世代をスキップすれば、グレードの序列による縛りを考慮する必要がなくなって、高性能な世代進化をより自由に設定できます。iPhoneと違ってMacは毎年買い替えるようなことはしないですよね。

 さて、では、Mac Pro用のApple Siliconはどうすればよいでしょう。

Mac StudioのM1 Ultraのように単純にM2 Maxの2倍とか4倍にしただけでは、Mac Proに要求されるようなテラバイト級の大容量メモリは到底実現できません。
ですから、

  • Mac Pro用Apple Siliconでは、M1 Maxで隠し持っていたUltraFusionを外出しして、M2 MaxまたはM2 Ultraを2個とか4個の複数搭載、さらにNUMA(Apple Silicon内のメモリとチップ外接続メモリの間で速度が異なる)でもよいのでメモリも外部接続できるようにすれば良いと思います。
    この外部接続用の高速インターコネクトのためのスロットあるいはファブリックは、Mac Proに特化したお金のかかる設計でよくて、すでに前例としてIntel Mac ProのMPXグラフィックカードで実在しています(以前の投稿)。

もしかすると、じつはM1 Ultraですら、UltraFusionの外部接続用の接続ピンを隠し持っているのかもしれません。
こういう仕組みであればMac Studioに比べてMac Proは自由な拡張性を与えてやることが可能になり、差別化できます。

みなさんはどんなApple Silicon Mac Proを期待、想像しますか?
もちろん個人で手に入れられる代物でなくてよく、Macの発展性の夢の存在としてですよ。

2023-04-01

タプティックエンジンで入力をフィードバックする、ソフトウェアキーボード方式の自作キーボードの夢を見た [自キ沼 #28]

今日は突拍子もないことを書きたいと思います。
ソフトウェアキーボード方式の自作キーボードの構想です。
使用パーツは以下です。

  • どの家庭にもある余剰のiPhone 2台:機種の条件はタプティックエンジン搭載であること(6s以降のもの)
  • または、みんな大好きApple Magic Trackpad 2台(無刻印キーボードを目指す場合):コントローラを改造します
  • USBホスト接続ケーブル:PCやMacと同期するための普通のケーブル1本
  • USB OTGケーブル:改造Magic Trackpadの左右接続用
  • Pro MicroまたはBLE Micro:改造版QMK FrameworkがiPhoneやMagic Trackpadから得た入力情報をHIDキーボード通信に変換してPCやMacとやりとりします

従来の自作キーボードのように、キースイッチを組み合わせて物理的にキーボードを構成する代わりに、Steve JobsがかつてiPhoneを発表した時に提唱した『利用場面に応じてレイアウトを、いかようにも変化させられるソフトウェア的なキーボード』を自作キーボードの世界で実現します。
メカニカルキーボードで重要な押し込んだ感覚とタクタイル感はタプティックエンジンで、既存の多種多様なスイッチをシミュレーションします。

キー配列は、デフォルトではAtreusとCorneriusとAliceを提供。
改造QMK上のRemapやVIAで定義したキー配列、キーマップに応じてレジェンドをダイナミックに表示します。

両手用のiPhoneと改造QMKの間は専用アプリで通信します。
改造QMKはメカニカルキーボードと同様にPCやMacとUSBまたはBluetoothでHID接続します(iPhoneで直接USB HIDデバイス機能を実装するのは工数がかかりすぎるため)。
Magic Trackpadを使用するバージョンでは、物理的に改造して直接コントローラを乗せて、改造QMKを実行させます。

パームリジェクトや複数キー同時押しも、iPhoneや Magic Trackpadのタッチセンサーならお手のもの。

何年か前に、机の上にLEDで投影したキーボードを指で押す仮想キーボードがありましたが、入力フィードバックがない残念なものでした。
さて、このキーボードの実現性、チャレンジ精神旺盛なあなたなら、どう考えますか。

 

この投稿は、4月1日に、セルフメイドのLilithキーボードで作成しました。

2023-03-27

Lilith minでのKailh chocの質感不足をなんとか補うためにソリッドケースを強化する案 [自キ沼 #27]

ロープロファイルキーボードを突き詰めて行く中、Kailh chocからGateron low profile (GLP) へ転向してきた私ですが,カスタムレジェンドキーキャップの魅力にはあがなえず、chocで再チャレンジしてみようとしているところです。

chocはGLPに比べてどうしても作りが華奢で、高めの音程の音が耳に心地よくありません。
さらにMBKキーキャップは、いわゆるchocピッチの少し狭ピッチ、標準ピッチで使用するとチクレット的なデザインなので、キーとキーの間、行間・列間から音が漏れてしまって、この意味でも明らかに不利です。

これらをなんとか回避できないかと思い巡らせていたのですが、ひとつ思いついたのは、GLPのバネをchocに入れ替える手です。
うまい具合に両者のバネはほぼ同じサイズで、GLPのバネは不等ピッチスプリング(ツーステージスプリング)になっています(TALPKEYBOARDさんによる解説がありました)。
実際にchoc SunsetにGLP Brownのバネを入れ替えて試してみると、音が多少穏やかに、押した感触はタクタイル後の重さが急激になくなる不自然さが少なくなってベターな感触になるように思えます。

対策としてもう一点考えたのは、ソリッドマウントケース(以前の投稿)をもっと推し進めて、チクレット対応にしてしまうことです。
つまり、プレートの上、キースイッチの周りとキーキャップの周りの隙間もケースで埋めてしまうのです。
現状のソリッドなトップケースは右の図の水色の部分ですが、さらにピンク色の部分を追加して成形します。
ラップトップのキーボードや市販のチクレットキーボード (Apple Magic Keyboardなど) はキーキャップの周りをスキマなくケースが覆っていますが、それと同じことをやるのです。
こうなるとスイッチを抜く時にキープラーが使えなくなりますが、丸足を裏から押し込むことでなんとかなるかなと思っています。
これで音漏れは今よりもかなり防げるようになると思っています。
MBKのキーキャップのサイズは、17.5x16.5mmなので、19.05mmの標準ピッチで0.5mmの余裕を設けると、キーの間の壁の幅は0.55mmとなるのでなんとか3Dプリントできる算段です。

それと、Lilith miniの配列は、純血5x3では (以前の投稿) 私には少し無理がありそうなので、6x3でやることになりそうです。
また、これを書いているちょうど今日、狭ピッチにも少し興味が湧いてきています (MBKだと1.05mm削って18mmピッチが限界で5%だけになりますが)。

この投稿は、Lilithキーボード (7x4) をiPad ProにUSB有線接続して作成しました。
(もしかすると、macOSよりもiPadOSの方が日本語作文入力は私の好みに合っているのかも(漢字モード中の半角スペースとか、ポインタがボタンの上に吸い付くところとか、昔のフルページディスプレイ的なポートレートモードや、マルチタスクのステージマネージャもキーボードで使うと意外と良い)と感じました。)

2023-03-19

NHK Eテレのムジカ・ピッコリーノがシーズン10をもって終結してしまうなんて

独特の世界観とセンスで目も耳も楽しませてくれた、知る人ぞ知る「ムジカ・ピッコリーノ」が、すきだったのに、とうとう終わってしまうとのことです。
10代中心の、天才と言っていいミュージシャンの演奏にはいつも驚かされていました。
なんとかまた復活して欲しいものです。

最終回スペシャルは2023年3月22日(水)19:25〜19:55の放送です。
NHKの番組ホームページでは扱いが薄いのですが、制作会社さんが告知してくれています。

ただのUSB-Cハブのつもりだったパッケージが綺麗でびっくりした製品

先日、MacBook AirとiPad Pro用に、USB-C入力、HDMI 4K 60Hz出力付きのHUBを購入したところ、パッケージがApple製品のようにきっちりしていて、びっくりしました。
製品はamazon扱いのこれです。
コンパクトでなかなか良いです。

2023-03-09

オリジナルレジェンドキーキャップの第一印象、これは試験機一号機 [自キ沼 #26]

オリジナルレジェンド、カスタムレジェンドのMBKキーキャップの印刷が上がってきました(前の投稿と、前々回の投稿もご参照ください)。
印刷作業のためでもあるんでしょうが、キースイッチテスタのような、アクリルのしっかりした土台も付いてきました。
  • 遊舎工房さんの商品ページでは現在の平均納期2週間となっていましたが、9日で受け取ることができました
  • 細かい部分もつぶれず、印刷精度は高いです。感覚的に600dpi以上は余裕でありそうです。
  • 色が全体的に暗めの印象です。白も赤も青も中間色を狙ってはいたのですが、印刷データを画面で見た場合や、右の写真と比べても、実際に目で見ると、特に青色の明度・視認性が物足りません。カラー印刷は、紙の場合でも試し刷りを何度かしないとイメージ通りにならないので、致し方ないかと思います。地が黒色だとより難しいのかもしれません(印刷部分の白色の下地塗りはきっちり入れています)。
    メモ:刻印の色は、白色 #cccccc 青色 #4477ee 赤色 #aa3311 で、明度で表すと 80% 48% 37% です。
  • 強度確保のためにトップコートされるのですが、仕上がりが光沢寄りの半光沢なので、生のMBK黒色のPBT表面よりも反射が強くなります。現物をよく見ずに買ったノートPCや液晶テレビをいざ設置したら、画面のテカりに驚いてしまう事がありますが、それと同じ感じです。それと、有機溶剤臭があるので開封後しばらく外で干さないといけないです。
  • トップコートされていますが、あくまで実験的に、剥がすつもりで爪でわざと強く引っかくと、印刷が剥がれました。印刷強度を確保し、不測のキズなどを防ぐためにはトップコートは必要なようです。
  • これは自分のエラーですが、一箇所だけTypoをしてしまいました。100文字以上のデータなので、間違う前提でもう一度だけ確認すれば良かったかなと思います。

全体的に試験機一号としては満足ですが、青色文字がサッと見えないのは刻印の目的からすると改善の余地ありなので、このままの常用は難しく、再トライが必要かなと思っています。

  • 青色はもう少し水色か薄緑色に寄せる。
  • 64色とかの色見本用の刻印を1個くらいは入れておきたい、保険として。隣り合った色で印象に影響が出るから地色を挟みながらが良いか。
  • 遊び心をプラスして、イタリック体のデザインでもやってみたい。
  • 艶消しトップコートを試すかどうか。。。
  • より安価なレーザー印刷も試してみたい。レーザー印刷による刻印は単色。単色で3レイヤ分の刻印が分かりやすく表現できるか(今は左上白・右上青・左下赤の三方向三色に振り分け配置しているけれど、単色だったら、センター・左上・右上か、センサー・左上・左下のように位置関係で差をつけるとか)。黒地だと刻印が見えにくい恐れ。カラー刻印は夢が実現した形が良くて嬉しいのだけど、粋な黒色・墨色も悪くないかも。色合わせ試行不要、トップコート不要の制作上のメリット。バリエーションとして持っておくか。

この投稿はiPadのソフトウェアキーボードで入力しました。
『真のキーボードラヴァー(Keyboard Lover)はキーボードで嘘はつけない』ですよね。
実生活で、自作キーボードじゃないデバイスとの併用は少なくないですから。
iPadってシンプルにシングルウィンドウなので文章に集中できる、すぐれた「思考の道具」だと思いませんか。

 

[2023-03-18] 刻印の色を記載しました。
遊舎工房さんの黒色MBKキーキャップの単色レーザー刻印は技術的問題(PBT素材のMBKの素材の変更による)により受注停止とのこと、残念です。

[2023-07-31] ところで、写真に写っている数字行とEnterキーは、ずっと以前に貼り付けたシールですので、念のため。
シールも鮮明でよいのですが、使いたい文字が揃っていなかったりするので、自作初号機以降は乗り気になれず、です。

2023-03-02

Lilith miniは、じぶんにとって「もっと、もっとも、つかれないキーボード」を目指す、次キ沼 [自キ沼 #25]

セルフメイドの自作キーボード第2号となるLilith miniですが、ねらい、設計目標を一覧にしてみました。

  • エルゴノミクスであること、ロープロファイルの分割Alice、短い小指に自然なキー位置
  • 入力中にホームポジションを崩さない、数字行を削除、5x3のx3の部分
  • 小指の負荷を下げる、小指の担当は1列だけ、5x3の5xの部分
  • 記憶の負担を下げる、カスタムレジェンド
  • 安定動作の単純2レイヤ、親指ブロックは5キーと多め、よく使うEnterとBackspaceを親指ブロックに、Shiftも親指ブロックに、もしかするともっとよく使うカーソルキーは片手操作できる赤レイヤの右手ホームポジションに
  • ホームポジションから近いジョイスティック、(まだチューニング中)マウスほぼ不要
  • (まだアイデアのみ)カーソル移動をジョイスティックでも

現在絶賛運用中の第一号Lilithは品質が確保された市販キーキャップを使用し標準キーボードとの移行ギャップを最小限にした7x4配列です。
対して、Lilith miniはカスタムレジェンドキーキャップ前提の5x3配列です。 
ケースまで含めたサイズ比較の図を作ってみました。
Bの右とYの左のキーは出っ張るので(前回の投稿の図にはありましたが)削除しようと思います。
とても可愛くまとまりそうです。
これで使い勝手が良ければ御の字ですね。
ホームポジションの領域から外に指を一歩も伸ばさなくて良い感覚はどんなものなのか、早く試してみたいです。

カスタムレジェンドのロープロファイルのMBKキーキャップは、前の投稿で触れたように、遊舎工房さんのUV印刷サービスに発注し、首を長くして完成を待っているところです。
右が発注イメージです(画像圧縮しています)。
左下隅はLilithシリーズのロゴですが、細い線がどこまで印刷できるかの実験も兼ねています。
カスタムレジェンドのキーキャップは、自分の好きな文字サイズやフォントを選べて(今回はSF RoundedとSF Symbolsの11ptでデータを作成)、レイヤを色分けもできて、そして何より、汎用キーキャップでは惜しいところで断念せざるを得ない自分のキーマップに完璧に合わせられるのが、自作キーボードの重要な定番パーツに今後なるかもしれないとさえ思えてきました。

まずは現行Lilithの外周キーを除いた部分にセットして使い勝手を検証します。
その上でPCBとケースにじっくり取り掛かります(キーキャップの修正も必要かもしれず)。

この投稿はセルフメイドのLilithキーボードで書きました。

 

[2023-03-09] タイトルに「次キ沼」と書いてしまっていたのに気付いて、消して修正しようかと…、はてさて、偶然とはいえ上手いコト言ったもんだな、と思って併記して残すことにしました。
Lilith miniは、私にとってまさにLilithに次ぐセルフメイド自作キーボード。
次々と作ってしまうのもこれまた沼。

2023-02-17

次のセルフメイドキーボードはLilith miniかな、カスタム刻印の実現性が見えたので [自キ沼 #24]

左右分割Aliceで70キーのLilithを作って以来、今まで経験したどのキーボードよりもお気に入りで毎日使っています(ケースに関する以前の投稿、全体像のTwitterへの投稿、Lilith v1/v2/v2.5のTwitterへの投稿)。
単に自作のキーボードですというだけではなくて、実用的なメリットつまり、左右分割で両手・両腕の自然で自由な構え方、ロースタッガードの標準キーボードに近い配置、小指の短さに寄り添った小指ブロックを持つAlice配置、この三位一体感がとても心地良いのです。

これが自作キーボードの自分にとってのエンドゲームなのか、と考えかけているのですが、もっとキー数を少なくしたキーボードには何か良いことがありそうなんだよね、とちょっと心に引っ掛かっているものがありました。
単に、コンパクトだとか、部品が少なくて済むとか、奇抜でカッコいいとか、だけではない何かがです。

7x4から5x3へ

現在のLilithキーボードは、変則的な配列にならないようキー数を省略しなかったため、7x4(それと中央にオマケの補助用に1列追加)の配列になっています。
人差し指から小指の4本の指でこの7x4を操るので、良く動く人差し指の担当が2列なのは良いとして、力の弱い小指(赤ちゃん指)が3列も担うことになってしまっています。
改めて考えると、小指の負担が大きすぎます。
そして、7x4のx4の方、数字行についても、標準キーボードとの違いを少なくする意義は大きいのですが、ホームポジションが明らかに崩れるデメリットがあります。
なんとか5x3配列がうまく実現できれば、小指の負担が少なく、ホームポジションが全く崩れないキーボードになります。

カスタムレジェンドの必然性

自作キーボードでキーマップを色々工夫するのはひとつの醍醐味ですが、どのキーがどこに割り当てられているのかを完全に記憶して即座に入力するのは、やはり脳に余計な負担を強いるものです。
記憶の補助手段として、キーの刻印(レジェンド)がとても有力なのですが、標準的な配列から離れるほど、出来合いのキーキャップがどんどん使い物にならなくなってしまいます。
自分のキーマップが確立したら、カスタムな刻印のキーキャップを作ってしまえば良いのですが、自作キーキャップ作成手法としてなかなか満足できるものが見つかりませんでした。
そんな中、実績のある既成品のPBT素材のブランクキーキャップに、フルカラーでUV印刷してくれるサービスが遊舎工房さんで提供されていることを知りました(1キーのみのお試しや、モノクロのレーザー印刷もあり)。
これで、非標準なキーマップにならざるを得ない5x3配列キーボードに対する、実用的な実現性が、わたしの中で現実味を帯びて来たのです。

では、やってみよう

となれば、まずはKLEでの配列設計とマップのシミュレーションです(自作キーボード作業の中でKLEが一番楽しいですね、今回は見た目も、よりリアルな色をつけてみました)。
分割AliceのLilithの形状は維持しつつ、小指の担当を1列になるように削ることで5x3にし、キーマップが無理なく収まるかどうかを試行錯誤してみたのが下の図です。
名付けて、Lilith miniです。

親指ブロックは、Ctrl/Opt/Cmdなども含めてダイレクトに入力できるよう一切省略しないことにしました。
数字・記号系と、カーソル・Fn系の、単純な2レイヤで、なんとか綺麗に全キーを収められそうです。
なお、数字は、左右分割しているとものすごく入力しにくいのを今も感じているので片手側に集めたかったのと、キーボードでは多数派の電卓配列(789が上の行)よりも電話配列(123が上、789が下)の方がスマホで見慣れているので、そちらを選んでいます。
標準キーボードでのShift+数字で入力する記号群は、Shift+Mod1+数字の3キー同時押しにはなりますが、標準キーボードと同じ割り振りのメリットの方が大きいと考えてそのままにしています。
他の記号は ~ と | 以外は、ShiftなしのMod1レイヤで直接入力出来るようにしています。
Esc、Tab、CapsLock(OS側で漢字ON/OFFに割り当て)はMod1レイヤのQAZに、Shiftは思い切って親指中央に割り当てました。
親指ブロックがどのみち中央側に伸びるので、メインブロックの中央側の追加1列は、ケースのスペース的にはそれほど負担にならないし、片手だけでの操作に重宝するので継続採用です(ジョイスティックについてはまた別の機会に)。
カスタム刻印で、Mod1とMod2(RaiseとLowerと言った方が良いかも)を色分けすることで、より直感的で分かりやすくなるのではと考えています。

なかなか綺麗に収まったと思いませんか。
これならキーマップの記憶負荷が少なく、かつホームポジションが全く崩れない、実用的なキーボードが実現できそうです。
まあ、今は単に絵に描いた餅かもしれず、こればっかりは実際に作って使ってみないと分からないですね。
PCB基板は現状Lilithもリバーシブル化で製造コストを節約できているので継承します。
Lilith miniでは、カスタムレジェンドが最大のポイントなので、手始めとしてキーキャップの印刷データの作成から始めるのが良さそうですね。

この投稿は、寒い日にベッドの中で、iPadのソフトウェアキーボードで入力した後、セルフメイドLilithで手直しして作成しました。
Lilithのまとめを書きかけて長くなってしまっている中(なのでLilithの現在形の投稿がまだできていない)、今回のアイデアが浮かんできたので、こちらを先に投稿しました。
Twitterにもつぶやいておいたので、ご指摘、励ましなど、お気軽に返信いただけたら、大きな励みになります。


[2023-03-27] ここで考えていた5x3配列だと、TabやShiftやEscの入力がどうしてもまごついてしまうことが、1週間ほど使ってみて分かりました。
頭の中だけで考えたものは必ず実際に動かして確かめるのは大事ですね。
今後は6x3に舵を切りたいなと思います(今日の投稿)。
TabやShiftは入力頻度がそれほど多くないし、右手側も;’がダイレクトに入力できるようになってメリットが大きそうです。
Escは青Mod+Tと人差し指で押す方式に、カッコ系(()[]{})は中指と人差し指押しにして人差し指だけを忙しく動かさなくてもよいように考えています。
数字行がないことをカスタムレジェンドでどれだけカバーできるかが、今後のポイントかなと思います。

2023-01-25

カーソルキーのもっと良い置き場所を探していろいろと妄想、センターが良さそう [自キ沼#23]

標準キーボードのカーソルキーってメインブロックから離れていて、手首を大きく動かさないと押せません。
キー数をメインブロックのみに絞った60%キーボードですら、逆TカーソルがEnterキーの下なので、やはり手首ごと動かして、人差し指・中指・薬指で押す使い方になります。

この矢印キーの配置って、ホームポジションが大きく崩れる違和感があって、どうにかならないかとずっと気になっていました。
よく使うのに、矢印キーを押す、そこから戻る、を繰り返すたびにホームポジションとの行ったり来たりになってしまいます。

矢印キーをメインキーのレイヤの中に入れてしまえば、ホームポジションを崩さずにカーソル移動できますが、レイヤを意識して同時押しする必要があるので、次善策ではありますが、完全な解決策にはもう一歩だと思います。

折に触れていろいろ妄想している中で思いついたのが、図のように、十字配置の矢印キーをセンターに置く方式です。
まだKeyboard Layout Editorで描いてみただけなのですが、いい感じに収まりました。
オーソリニアで、センターにテンキーを置いているキーボードを見かけるたびに、なにか気になる感触があったのですが、そこからふと発想を広げてこうなりました。
(スイッチをひし形に配置して、細身の専用キーキャップを付けるというのもちょっと考えたのですが、横幅がどうしても広くなりすぎてしまうので、ボツ案としました。)
図は、ロースタッガードの左右分割の想定で描きましたが、一体型やカラムスタッガードでも適用できるのではと思います。

Nの左とその下は、右手人差し指で容易にアクセスできて、ホームポジションもほとんど崩れないと思います。
プログラミングでも、文章作成でも、カーソルキーの使用頻度はとても高いので、手首を大きく動かさなくてよい位置に専用の矢印キーがあるのは、入力の気持ちよさに大きく貢献すると思います。

あと、図の配置に関して、蛇足話です。
左手ブロックに比べて右手側ブロックがどうしても長くなってしまうのを何とか抑えて同じ幅になるように、右手端のバックスラッシュの位置を詰めて配置する工夫をしています。
親指ブロックのBackspaceとEnterは標準のサイズのキーキャップになっています。
Backspaceとほぼ同率頻度で使用するDelキーも確保しています。
左手側センター側にはEnterも置いて、左手の片手だけである程度利用が出来るようにしています。
わたしは親指が短めなので、親指ブロックは0.25u下げています。
好みによっては数字行を省略しても良いと思います(その場合はEscはTabの左で良さそうですね。わたしは数字や記号を迷わずに入力したいので数字行がある方が好きです)。

この投稿はセルフメイドのLilithキーボード、キースイッチはGateron low profile 2.0 Brownで書きました。

2023-01-21

いまお気に入りのロープロファイルキーキャップ3選 [自キ沼#22]

ロープロファイルの自作キーボードを作っていくなかで、より良質のキースイッチを求めてKailh choc v1からGateron low profileスイッチ(基板のフットプリントとソケットがchocともMXとも違う[→過去記事]ので専用設計になる点は何度も注意喚起いたします)に乗り換えて、年末から主力として使用し始めした。
MXの十字軸のキーキャップで、ロープロファイル仕立てのものはそれほど多くないのですが、その中からわたしが現在気に入っている、トップ3を紹介します。

  • NuPhy nSAプロファイル COAST Twilight
    わたしにchocから乗り換えを考えさせるきっかけ[→過去記事]になったキーキャップです。
    chocとほとんど変わらない低さが実現できます。
    本来はNuPhy Air60/Air75キーボードのオリジナルの白色デザインに対する、色違いの交換用の専用キーキャップで、キー数は少なめですが普通に汎用的に使用できます。
    Esc/Enter/Spaceの3色の差し色が特徴的です(Alice配列では残念ながら6.25uの長いSpaceは使えない)。
    素材はPBTで、レジェンドは昇華印刷です(文字部分が白色の成形色で、周りの着色部分が昇華印刷という面白い方式)。
    キートップ面が広くて押しやすいですが、次のSkylineと比べるとちょっと平らすぎる感じがします。
  • XVXロープロファイル Skyline Shadow
    XVX社のロープロファイルキーキャップの第二弾(いわゆるR1)として出てきた(製品ページにストーリーが紹介されていて、さらに別バージョンR2の構想もあり)、行の高さが揃ったノンスカルプチャです。
    7色展開ですが、わたしは落ち着いたグレーのShadowが好きです。
    Esc/Enterの白色の差し色キーもついていますが、普段使いには通常色のキーを付けています。
    PBTのダブルショットです。
    nSAと同じく広いキートップ面で、nSAよりも窪みが若干深いので、より指にフィットします。
    nSAよりもなんとなく押し心地がマイルドな感じがします。
    刻印が小さめなのも好みです。
  • XVXプロファイル Concrete
    XVX社のXVXプロファイルという、シリンドリカルステップスカルプチャだけれどとても低いプロファイルです。
    こちらも6色展開で、わたしはこちらもグレー基調のConcreteを選びました。
    通常キーの刻印がグレー地に濃い水色文字なので、周りが暗いと少し見にくいです。
    Forestという白色基調、特殊キーが深緑色の配色もとても気になっています。
    PBTのダブルショットです。
    驚くべきことにR2/R3行はnSAやSkylineに匹敵する低さです。
    さすがにR1/R4は少し高さがあります。
    しかしながらそれがかえって打ちやすさにつながっている面もあって、数字行に指が届きやすいです。
    キートップ面も広くて窪みが深めで、指に吸い付く感じがします。
    写真のようにスカートが長めなので、相性によっては引っかかりそうになるキーがありますが、少し削れば万全です。

次点にはなりますが、写真に写ったキーキャップがもう一つあります。

  • XVX Horizon ロープロファイル Black
    XVX社のロープロファイルキーキャップの第一弾(R0とでもいうべきか)です。
    PBTのダブルショットでバックライト透過型、白色と黒色があります。
    わたしは黒色を選んだのですが、刻印がほとんど見えなくて、その点は残念でした(他では、墨色キーキャップが流行っているようなので、この方が好きな人も多いのではと思います。バックライトがついているなら製品写真のようにとても綺麗だと思います)。
    段差が非常に少ないシリンドリカルステップスカルプチャになっています。
    キートップ面は上記3種よりかなり狭いのも欠点かもしれませんが、他の標準的なキーキャップのことを考えるとこの広さが標準的なのかもしれません。

他にも、
NuPhyからバックライト透過型や、季節の企画もの(2月にはPBTダブルショットも予定されています)、
KeychronのK3キーボードの色違い交換用(NuPhy同様キー数が少なめ)と、汎用のPBTとABS(ABSは特徴的なオレンジの差し色を選べる、なおKeychronはキーキャップによってはスタビライザの足が軸の中心からズレた特殊なものの可能性があるのでよく見て選ぶ必要あり)と、
ゲーミングに寄せたPulsar Korseaのロープロファイル
があるようです。

chocでは刻印入りや、いろいろなカラーリングのキーキャップがほとんどなくて困っていました(Cosfoxから1u以外の標準キー幅や差し色も入ったChocFox CFXキーキャップセットがこのタイミングで出ましたが、バリエーションがもっと増えるといいですね)。
3Dプリントで自作[→過去記事]しても良いのですが、製品品質できっちり刻印までされているキーキャップには惚れ惚れしてしまいます。
キーキャップの文字刻印は、押したいキーがどこにあるかが視覚的に確実に分かる(たまにしか使わない記号文字の時に助かる)ので、キー入力を楽にするのに大きく貢献していると思います。
キー数をもっと絞ったキーボードの場合には、自分のキーマップに合わせたカスタムな刻印が欲しくなると思いますが、そういう場合にはまた別の工夫[→過去記事]が必要なのかもしれません。

この投稿はセルフメイドLilithキーボード、Gateron low profile 2.0スイッチ、XVX Skylineキーキャップを使って書きました。

[2023-07-31] 遊舎工房さんのキーキャップ刻印サービスを試してみたので投稿しました。

[2024-02-03] Keychronの日本の代理店のSUPER KOPEKで、Keychronロープロファイル LSA キーキャップv2の取り扱いが始まっています。
Keychron LSAはとXVX Skyline/Horizonは、NuPhy nSAに比べるとスカート部分が少し短いと思います。
NuPhy nSAはあくまで自社のAir 96/75/60キーボードの交換用であって、汎用性を求めていないキーキャップセットなので、1.5uなどのキー数が少ないのが少し残念ですが、今の私の一番のお気に入りです。

2023-01-09

Gateron Low Profileスイッチの新型2.0が順次発売開始 [自キ沼 #21]

私の大のお気に入りになりつつあるロープロファイルのGateronのメカニカルスイッチ(以前の投稿)が、新しくなって2.0として既に発売中です。

トータルトラベルが2.5mmから3.0mmに、プリトラベルが1.5mmから1.7mmに変更されています。
それと、ファクトリールブ済み、LED用の窓が表面実装のLEDにも対応するように改善されているようです。

価格は直販サイトで1.0から変わらず、35個セットが$14.99 (単価$0.428) です。
私自身は1.0でLilithの新バージョンを現在作成中ですが、早速2.0 Brownをお試しで発注してみました。
良質なロープロファイルスイッチの選択肢が増えるといいですね。

なお、Gateron Low Profileのフットプリントとソケット(以前のソケットに関する投稿)は、choc v1/v2ともCherry MXとも違う完全に独自のものなのでくれぐれも注意が必要です。

この投稿はセルフメイドLilith v2 (Gateron Low Profile Brown 1.0) で書きました。

 

[2023-01-10] さらに、GateronNuPhyのInstagramと、NuPhyの製品ページ(現時点は画像だけで、未発表のNuPhy Air96用となっている)にバリエーションモデルが掲載されています。
トータルトラベル3.5mmでハウジングまでパステルカラーになっている、

  • タクタイルのWisteria (藤色 T55)と、
  • リニアのDaisy (ヒナギク色 L48)と、
  • リニアのAloe (アロエ色 L37)

です。
1月16日解禁のようです。

[2023-01-13] このパステル軸をよくよく見て気づいたのですが、ステムの露出が2.0より更に短く、ハウジングがその分高くなっているように見えます(別の写真ではそうでもないようです)。
そうやってトータルトラベルをギリギリまで稼いでいるようです。

[2023-09-12] さらに、以下のロープロファイルスイッチが出てきました。

  • NuPhy Air75 v2と同時発売の、
    リニアのCowberry (コケモモ、スピード軸、45g) と、
  • タクタイルのMoss (コケ、アーリーバンプ(タクタイル感が早く来る)、60g)。
  • KeychronからKeychronブランドで、ステムの形状に一工夫されている、
    Keychron low profile Red (リニア、スピード軸) と、
  • Keychron low profile Banana (タクタイル、スピード軸、強いタクタイル)。
  • 本家Gateronから
    Gateron low profile 2.0 Banana (Brownより強めのタクタイル)。

 

[2024-11-12] 新しいスイッチを手に入れました。
  • GLP Bananaは、Brownよりもタクタイル感も押下圧もはっきり重い、より明確な入力感。
  • KLP Bananaは、Brownに比べるとたしかに早く(浅く)入力されつつ、タクタイル感はより明瞭です。薄めのキーボードが好みの人にはあっていると思います。
  • KLP Redは、とにかくすこし押しただけ、触れただけで入力される感じです。スピード軸ってこんな感じなのかなと言う感じ。
GLP Bananaは深いタクタイル好きの人向け、KLP BananaとRedは浅い入力感が好きな人向け。
どちらもGLP Brownの柔らかいタクタイルよりもシャッキっとした感じが気に入りました。
KLPは軸ブレがかなり少ないくて安定しているように感じます。