2023-09-29

もう一つの刺客Meta Quest 3が登場したので、Apple Vision Pro、XREAL Air 2と横並びで比較

先日、Apple Vision ProとXREAL Air 2のどちらを選ぶかのための比較一覧を作りましたが、その後Metaから鳴り物入りでQuest 3が発表されました。

Questはヘッドマウントディスプレイ然としているので、わたしはウォッチしていなかったのですが、うわさを聞くにつれ気になりだしてきました。

Meta Quest 3の用途は、製品説明の次の言葉に集約されているのではないでしょうか。

  • 「好き」に火をつける 豊富なアプリで、ゲーム、フィットネス、ストリーミングを楽しめる

直接比較はやはり無理があるのかもしれませんが、全部買う訳にもいかず、なんとか横並びで比較してみたくて、ともかくやってみました。


Apple Vision ProMeta Quest 3XREAL Air 2
表示機能
PC/Mac/Android/iPhone/iPad/ゲーム機の外付けディスプレイとして✕ Macのみ(iPad?) ✕ PC/Macのリモートデスクトップ機能にて〇 HDMI出力はBEAMにて変換
仮想デスクトップ△ 1画面?〇 3画面、5画面(Immersedアプリにて)〇 3画面(NebulaのVirtual Desktopにて)
汎用ビデオ表示〇 USB-C DP-Alt入力、外付けアダプタ+HDMI変換ケーブルで入力(Air Casting)
映画モード〇 visionOSで表示〇 映画配信あり〇 Air Casting、さらにBEAMを使えばSpatial Display機能でサイズの調整が可能
透過型のコンテンツ表示〇 カメラ入力と自然に合成、クラウンで透過度を調整可能〇 カラーパススルー対応〇 物理的な透過型、Air 2 Proは3段階の透過度調整付き、BEAMで視界の隅への縮小表示も可能
センサー
ヘッドトラッキング〇 3DoFまで
ポインティング〇 視線、指〇 専用コントローラ、手ぶり(追加で全身のフルトラッキングも)✕ 従来のポインティングデバイスが必要、AR Spaceではスマホの動きをポインティングデバイスとして利用可能
視線入力〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能✕ (Meta Quest Proのみ)
ハンドトラッキング、指によるゼスチャ〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能✕(世代的には古くなるけれどXREAL Lightはハンドトラッキングを機能として持っていてアプリ開発可能)
深度センサー、空間マッピング✕(XREAL Lightは可能)
あつかえるコンテンツ
専用アプリによる3D/VRコンテンツ〇 visionOSで開発〇 エンタメ系VRアプリやVRチャットが豊富〇 SDKで開発、今のところAndroidのみ(PC/Macにも広がって欲しい)
YouTubeの3D/VRコンテンツの表示〇 3D SBS表示モード (side by side、Cardboardモード)での表示が可能(3840x1080ピクセル)、Android用アプリあり
ステレオスピーカー〇 空間オーディオ〇 空間オーディオ
画像入力、視力調整
カメラ機能〇 3D写真や3Dビデオも撮影可能✕(XREAL Lightは可能)
視度調整レンズ△ 高級なツァイスのみ?〇 眼鏡をかけたままでも利用可能〇 おそらく汎用的に作成可能(Air 1では限定ショップの特殊加工が必要)、眼鏡をかけたままでも実質利用可能か
物理面
軽さ△ ゴーグル型、450g程度△ ゴーグル型、515g〇 メガネ型、72g
入手可能時期△ 来年2024年末〇 2023年10月初旬出荷〇 Air 2は2023年10月中旬出荷、Air 1とLightは発売中
価格✕ 約50万円△ 7.5万円から〇 5.5万円

Meta Quest 3は、第3のゲームコンソールと言った感じで、VRチャット(チャットではなくて仮想空間にアバターになってダイブする)等のVR専用アプリを楽しむ、ついでに映画やリモートデスクトップアプリもある、という位置付けでしょうか。
Apple Vision Proは、既存のiOS/iPadOS/macOSに非常に近くて互換性もあるvisionOSなので、スムーズに垣根なく使えるようになっていると思います。
XREAL Air 2は、あくまで持ち運べる外部ディスプレイ(ARグラス)であって、キャッチフレーズからしても「Your screens and your internet experience on your eyes」となってるように、手軽にいつでもどこでも、既存のデバイスの画面をそのまま手ぶらで表示できるところを突き詰めていますね。

その人が中心的にやりたい事に合わせて選べるちょうど良い時代になってきた、ということが整理してみて分かりました。
(一体型VRヘッドセットを選ぶ場合、Quest以外の競合製品がすでにたくさんありますね)

[2023-10-01] 老舗のMeta Quest 3がやはりかなりの注目を集めているようですね。
ユーザが、VRチャットまでできる機能性を選ぶか、ARグラスの軽快性を選ぶか、もっと激しく競り合ってほしいものです。
ARグラスにも対応し、3DoFを生かしたAR/VRアプリやコンテンツもどんどん増えていってほしいものです。
横並び比較は、やってみてとても勉強になりました。

[2023-10-16] XREAL Air 2がいよいよ発売開始されました(直販サイト、それとAmazonヨドバシビックカメラのサイト(こちらそれぞれ現在1%ポイント還元)と実店舗でも)。
赤色モデルは予約段階で人気が高いようで11月17日まで延期されました。
専用アプリが無くて、単に映画を観たい、ゲームコンソールにつなぎたい、仮想デスクトップとして利用、の場合はXREALがかなり良さそうですね。
あとは、自分の使いたい専用アプリがどのプラットフォームで出てくるかがポイントになると思います。
それと最近、XREALさんはLondon Film Festibalの最中に大々的なデモを行ったり(ヨーロッパでも販売開始か?)、とても意味深なツイートをしたり(ファームウェアの新バージョン? Nebulaの新バージョンor Windows版? あるいは6DoFの新機種Light 2? あるいはAndroid以外の開発環境?)、ととても元気がありますね。

2023-09-23

Vision ProとアップデートされたAir 2を無理やり比較してみた

Apple Vision Proはたしかに良いものだけれど、だれもが購入には躊躇してしまう高級さ。
それに比べてXREAL Air 2(10月に出荷開始のAirのアップデート版)はすぐ手に届く手軽さと、軽量さが魅力。 

XREAL Air 2はひとことで言うと、早い・安い・美味いで、サイトの製品説明には出来ることとして次の機能が挙げられています。

  • Air Casting:大画面ディスプレイ
  • Spatial Display:空間の任意の距離・位置に固定したディスプレイ
  • Virtual Desktop:3画面の仮想デスクトップ
  • AR Space:専用アプリによる3Dコンテンツ
  • 追加Beamアダプタ:USB-C DP-Alt機能に制限があるゲーム機との接続、PC/Macとの無線接続、Air 2をバッテリ稼働、Spatial Display機能
  • 追加XREALアダプタ:HDMI入力接続

Apple Vision Proは、最高にゴージャスで、製品説明は以下。

  • 複数のvisionOSアプリを空間上に表示する、空間コンピューティング
  • 映画モード 
  • 空間ビデオ 
  • ペルソナをリアルタイム生成するFaceTimeビデオ会議
  • 近くの人とアイコンタクトできるEyeSight 
  • Macの仮想デスクトップ
  • visionOS専用アプリに加えて、iOS、iPadOSアプリの実行

お互いの製品説明だと直接比較できないですね。
Vision Proの廉価版としてのAir 2で満足できるのかを考えるために、無理があるかもしれないけれど、AR/VR/MR/Spatialビギナー(未満)のワタシですが、横並びでの比較表を作ってみました。


Apple Vision ProXREAL Air 2
PC/MacやAndroidやiPadの外付けディスプレイとして△ Macのみ(iPad?)
仮想デスクトップ△ 1画面?〇 3画面まで、NebulaのVirtual Desktopにて
汎用ビデオ表示✕?〇 USB-C DP-Alt入力、HDMI変換ケーブル、または外付けアダプタでHDMI入力、Air Castingにて
映画モード〇 visionOSで表示〇 Air Casting、さらにBEAMを使えばSpatial Display機能でサイズの調整が可能
透過型のコンテンツ表示〇 カメラ入力と自然に合成、クラウンで透過度を調整可能〇 物理的な透過型、Air 2 Proは3段階の透過度調整付き
ヘッドトラッキング〇 3DoFまで
ポインティング〇 視線、指✕ 従来のポインティングデバイスが必要、AR Spaceではスマホの動きをポインティングデバイスとして利用可能
視線入力〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能
ハンドトラッキング、指によるゼスチャ〇 visionOSおよび付属アプリでサポート、アプリ開発可能✕(世代的には古くなるけれどXREAL Lightはハンドトラッキングを機能として持っていてアプリ開発可能)
MR、空間マッピング✕(XREAL Lightは可能)
専用アプリによる3Dコンテンツ〇 visionOSで開発〇 SDKで開発、今のところAndroidのみ(PC/Macにも広がって欲しい)
YouTubeの3D/VRコンテンツの表示〇 3D SBS表示モード (side by side、Cardboardモード)での表示が可能(3840×1080ピクセル)、Android用アプリあり
ステレオスピーカー〇 サラウンド
カメラ機能〇 3D写真や3Dビデオも撮影可能✕(XREAL Lightは可能)
視度調整レンズ△ 高級なツァイスのみ?〇 おそらく汎用的に作成可能(Air 1では限定ショップの特殊加工が必要)
軽さ△ ゴーグル型〇 メガネ型
入手可能時期△ 来年2024年末〇 Air 2は2023年10月中旬出荷、Air 1とLightは発売中
価格✕ 約50万円〇 5.5万円

こうして整理すると、なかなかますます悩ましいですね。
3Dコンテンツというか、ARアプリが汎用性・互換性を持って作れるになると良いんですが、まだもう少し時代が進まないといけないですね。
ARアプリ利用よりも、単に汎用ディスプレイとして使用する機会が多い(それだけでも十分面白いし、体験してみる価値はありますね)ならAir 2が潰しが効きそうですね。
空間コンピュータの違いを生かしたアプリがどれだけ出てくるかが、Vision Proの勝負どころでしょうね。

デスクでのOA作業ではさすがにARグラスや空間コンピューティングを常用することはないでしょうが(大画面の外付けディスプレイがあれば十分なので)、デスクを離れて気分を変えての作業や、外出先での作業、寝転んでのSNSのチェック、映画や3Dコンテンツを楽しむのが、活躍の場面になるのだと思います。
VRチャットのような全員がデバイスを持っている前提の使い方も、すぐには一般化は難しいと思います。

[2023-09-24] 空間識別処理(空間マッピング)を比較表に追記しました。

[2023-09-25] YouTube 3D/VRの表示は、SBSモードを使用して簡単にできる事が分かりました。

[2023-09-28] 3画面のVirtual DesktopはNubulaアプリを使用、AR SpaceではAndroidスマホをポインタとして使用可能なことを追記しました。 

[2023-09-29] ちょうどこのタイミングでMeta Quest 3が発表されたので比較表をアップグレードして新たに記事を起こしました。

2023-09-07

"Wonderlust" なApple Event 2023秋、再びハートマークなので、空間コンピューティングへの更なる期待を表明します

毎年恒例の秋のApple Eventが来週火曜日2023年9月12日の深夜26時からです。

新しいiPhoneを出さない訳はないとして、他の最大限の希望を書いておきたいと思います。

春のWWDC23もハートマークに変化するAppleロゴでした。
今回のテーマは Wonderlust - Wonderful と Wanderlust を掛けて「夢中の旅」となっています。
旅先でもワクワクの最先端デバイスを、ということは、これしかないですね。

  • M2 Apple Silicon版iPhone Ultraに、より軽量なメガネ型デバイスを接続して、どこでも大画面、空間コンピューティングを楽しめる。
    あるいは、MacBookとメガネ型デバイスを接続してどこでも作業ができる。
    さしずめこのデバイスはVision Air、表示とヘッドトラッキングのみに機能を絞って軽量・お手軽を優先する。
    Pro向けのフル機能の空間コンピューティングを実現するMac Proのような位置づけのVision Proと、日常的に空間コンピューティングを持ち歩いたり、コンテンツの消費(iPhoneに大画面を提供、音楽を持ち運ぶ、から映画館を持ち運ぶへ)や、既存デバイスの仮想ディスプレイを拡張する(MacBookに大画面を提供、操作はMacBookで行う、ハンドトラッキングは省略)ための軽量デバイスであるVision Airのラインアップ。
    この充実したラインアップを、いきなり揃えて、他社をさらに引き離すのです。

ちょうど今日、XRealから、本国のサイト限定告知ですが、Air 2、Air 2 Proが発表されました(製品ページと、ブログ記事(私には読めなくて雰囲気しか分かりませんが))。
軽量のメガネ型デバイスはどう考えてもトレンドですし、今の時代の主流です。

はてさて、この期待、盛りすぎのようにも思いますが、出来ちゃったりしますよね、Appleさん?
ハートを大きく揺さぶられる発表を期待しています。

 

[2023-09-13] Vision Airはもう少しお預けでした。
今回のロゴの粒子はチタンでした(オープニングのテザーの段階でうすうす気づきました)。

iPhone 15 Proではカメラを同時に2つ使って、Vision Proで視聴するための、Spatial videoの撮影ができるようになりますね。
visionOS以外用のSpatial videoのプレビューアプリも提供されることでしょう。

ところで、過去のApple Event (たとえばApple Silicon M1が最初に発表された2020年秋)を振り返りたいと思ったのですが、webサイト https://www.apple.com/apple-events/ では直近7件、2021年秋以降のものしか載っていません。
それ以前のものはPodcastに誘導されるのですが、残念ながらAppleデバイス以外では見ることができません。
少し調べて、Apple EventのPodcastのコンテンツへのリンクが見つかったので、ここからならどのデバイスでも見ることができます(Safariからの場合はPodcastアプリが開きます)。
直リンクは https://podcasts.apple.com/jp/podcast/apple-events-video/id275834665 です。