2021-11-30

Microsoft Officeがようやくダークテーマに対応


新UI


従来のUI、白テーマ

Windows 11がリリースされて、UIデザインはまた新しいものに移り替わりつつありますが、MS OfficeはOSの影響を受けながらもずっと独自UIツールキットを貫いてきています。
そのせいもあって、MS Officeは長らくWindows 10のダークテーマに対応できていなかった(手動で、白、黒、濃い灰色、カラフルを選ぶしかできなかった)のですが、ようやくダークテーマ対応のバージョンが、手元に反映されてきました。
なお私のOffice 365は、「最新チャネル」のバージョン2100、ビルド14527.20276です(ビルド番号とはあまり関係なく、新UIが使える(反映される・降ってくる・下りてくる、落ちてくる)ようになっているのかもしれません)。

タイトルバーの最小化ボタンの左の [近日公開機能] を押して、[新しいエクスペリエンスを試す] をONにすると、Officeテーマの選択肢として [システム設定を使用する] が選べるようになます。
右の画面キャプチャがそれを選んだ状態です。
従来のどのOfficeテーマとも微妙に違う配色で、Windows 11で使うとよりフィットするようになっています。

ということで結局、また新たなUIツールキットが追加されてしまったことになります。
スクロールバーは、従来の四角いグレーではなくて、濃いグレーの角丸直線になりました。
UI全体が薄いグレーに統一されたのに、スクロールバーだけがやけに黒くてかなり目障りです(iOSやmacOSのように平常時に消えたりしてくれません)。
不統一感という観点では、このスクロールバーは、MSWordではフォーカスのない時には消えますがExcel/PowerPoint/Outlookでは出たまま、オプションのダイアログとPowerPontのメインウィンドウでは昔ながらのスクロールバーのまま、とまあ好き放題な感じです。

アクティブウィンドウ全周の枠2ピクセルだけがアプリごとのカラフルカラー(MSWord深めの青色、Excel緑色、PowerPoint赤色、Outlook青色)になるのも、MS OfficeだけのUIです。
アクティブじゃなくなるとカラフルカラーから濃いグレーに変化するのも微妙過ぎてちょっと気付かない独自動作です(特にMSWordは深めの青色との色の差が少なすぎる)。

リボンの間隔が少し詰められていますね。
リボンエントリ一覧の [ファイル] だけはリボンではなくていわゆるスタート画面が開くのは変わりなく、動作としては百歩譲って許せるのですが、ビジュアルは、全体的にせっかく薄いグレーに統一したのに、スタート画面だけ左メニューがカラフルカラー、右の表示エリアが真っ白色のバックグラウンドなので、全くもって目に優しくなくないです。
[ホーム] リボンを選ぶつもりでまちがって左端の 「ファイル」 を選んでしまった時になどには、光過敏性的なショックがあまりにも大きいと感じます。
[ファイル] も通常のリボンにして、配下に [新規] [開く] [上書き保存] [アカウント] [オプション] などを置いて、そのうちのひとつを選んだ時に、現状のスタート画面スタイルが開くようになっていれば、より優しいUIになって、従来のメニューバーとの親和性も良くなりますね、Microsoftさん是非ともご検討願います。
あるいは、最低限、[ファイル] リボンもカスタマイズ対象にしてもらえれば、一番右に追いやるとかで事故を防ぐことができます。

この新しいデザインは、最初、2021-07-15付けのMicrosoftのブログで発表されました。
そこから首が長くなる道のりだったように思います。

[2021-12-01] スクロールバーの色はやはり気になりますね。
半日使用して、アクティブウィンドウの枠色と、スタート画面について追記しました。
それと、比較用に従来の白テーマの見た目も載せました。

[2021-12-20] この件に関して、Officeのヘルプ情報が更改されていました:「新しい外観のOffice - Officeサポート (2021-12-01更新)」。

2021-11-10

MacBook Pro 14/16に遭遇、ノッチ位置でのポインタのインテリジェントな動作を発見、デスクトップポインターモードとメニューバーポインターモード(仮称命名)

先日、店頭でApple Silicon MacBook Pro 14/16を見てきました。
ノッチは確かに気になります。
それよりも、iPhone X世代に匹敵する(iPad Proよりも狭い)ベゼルの狭さが際立っています。
MacBook Pro/Air 13と並べると、ベゼルの太さで、もう13には戻りたくなくなります。

細ベゼルにするとどうしても発生してしまうのがノッチ(カメラよりベゼルが細くなっているため)。
iPhone X世代でも最初は気になりましたが、もう慣れましたよね。
Face IDが入っていないのに、と思いますが、最大限までベゼルを狭くすると、やはりノッチは必要になってしまいますね。

しばらく触っていると、ポインタをノッチの近くに移動したときの挙動が、他の記事(たとえばJA All Things ITさんの記事)に書かれているような単純な作りではないことに気付きました。
とってもインテリジェントな動きをするようになっていますよ!!

  • 通常の、デストップやウィンドウにフォーカスがある状態では、マウスポインタは線形に、ノッチの後ろを通過します
    何の引っ掛かりもありません。これが他の記事で紹介されている動きです。
    [デスクトップポインターモード](仮称)
  • メニューバーの項目を一つ選んで、マウスを横に動かすと、メニュー項目が順々に選ばれていくと思います。
    この状態で、ポインタをノッチのところに移動していくと、ポインタがノッチの左から右へ一気にジャンプします(ワープします)
    最初不思議に思いましたが、よく考えるとこういう理屈だと思います。
    メニュー項目が沢山あって、ノッチの左側に収まりきらないような場合は、項目がノッチの右側にも振り分けて配置されます。
    このような場合に、ポインタを移動させた時、ノッチ部分でメニューがトンネルに入ったように無選択状態になると操作の連続性が保たれません。
    メニュー項目が、あたかもノッチがないかのようなタイミングで連続的に移り変わった方が自然で使いやすいですからね。
    [メニューバーポインターモード](仮称)

このようなノッチ周りでのポインタのインテリジェントな動きを、仮にデスクトップポインターモードと、メニューバーポインターモードと名付けておきたいと思います。
手元にMacBook Pro 14/16がある方は、是非とも注意深く試してみてください。
こういうあまり誰も気付かないこだわりの作り込みが本当にいいんですよね。

 

ところで、前の記事に書いた本体の厚み問題ですが、やはり14は13より0.5mm~1mmくらい厚いようです(横に並べて手で触れて比較した感覚)。
記事の図をより実際に合わせて直しておきました。
キーボード周りの謎は、つや消しで今までにない真っ黒い色で、別部品をはめ込んでいるのではなさそうでした。
熱を伝えない特別な素材で塗装されている可能性はまだぬぐえません。
キーボード自体は、気のせいか少し高級感が少なくなったというか、押し下げ圧がより軽くなったように感じました。
ボディーが厚くなったための感覚違いのせいか、キーストロークが少し深くなったのかもしれません。
私が普段LogicoolのMX Keysに慣れてしまっているせいでそう感じただけかもしれません。
powermetrics コマンドは実行し忘れましたが、そもそも管理者コマンドなので、試していたとしても結果は得られなかったと思います。
是非とも手に入れた方の結果を教えてほしいところです。

それと蛇足ですが、14/16の横と後ろにある通気口が、単純な大きな細長い穴とは当然違って、複雑な形のフィンが付いていて、どういう形状になっているのか、外から見ただけでは構造がわからないくらいでした。
これも現物の底蓋を開いてしげしげと眺めてみたい点です。
ふたを開けてもメモリもSSDも交換できないので実用的な意味はもちろんなにもないのですが。

[2021-11-17] キーストロークですが、2020年版は 1.0mmなのに対して、2021年版は 1.3mmとの記事がいくつか出ていますね。
全体の厚みの差(2021年版が厚いはず)もこの差から来ている可能性もあります(かのキーストローク 0.5mmのパンタグラフキーボードのMacBook 12とMacBook Airの厚みの差のように)。

2021-11-03

Apple Silicon M1シリーズmasOSのCPUコアやGPUの使用率/使用電力を詳しく見るには powermetrics コマンドと、ちょっとした工夫で見やすく

本記事の最後に、何ができるかを掲載しましたので、お急ぎの方はそちらへどうぞ
Apple SiliconがM1/M1 PRO/M1 MAXとシリーズ化されてきました。
パーソナルコンピュータとしては画期的なSoCになって、たくさんのCPUやGPUを積んでいます。
それにもかかわらずアイドリングじの電力消費はスマホ並です。

macOSはLinux系のOSなので、システム稼働状態を見るのに一番有名で手っ取り早いのはtopコマンドです。
ターミナルアプリを開いて次のコマンドを打ちます。

% top

OS全体およびプロセス毎のCPU使用率、メモリ使用量が動的に表示されます。
1秒毎の表示間隔で書き換えられますが、これが早過ぎる場合にはキーボードから s5<Return> と打つとたとえば5秒毎に変更できます。

次に、macOSでもっと有名で老舗なのが Menu Meters です(Menu Metersの最新版の公式サイト)。
ダウンロードしたzipファイルを展開して、/Applications フォルダにコピーして使用します。
Menu Metersではコア毎のCPU使用率、メモリ使用率、ネットワーク使用量をメニューバーに常駐したグラフで見ることができて便利です。

でも、高性能コアと高効率コアにそれぞれどれくらいの負荷がかかっているのか、動作周波数がどうなっているのか、消費電力がどうなっているのか、もっと詳しく知りたくなりますよね。
はい、そんな場合には、macOS専用のコマンドの powermetrics があります。

powermetrics も top と同じように、ターミナルアプリです。
次のコマンドで起動します。

% sudo powermetrics

powermetrics は管理者向けの特権コマンドなので、前に sudo というおまじないを付けて、(私は管理者ですよ、と宣言するために)パスワードを入力して起動します。
他にコマンドオプションを何も指定しないと5秒毎の状態が繰り返し表示されます。
止めるには Ctrl/C を打ちます。
もっと手早く1度だけ表示したい場合は、次のようにします(-i 1000 の部分は表示間隔のミリ秒指定、-n 1 は繰り返し回数です)。

% sudo powermetrics -i 1000 -n 1

このままでは情報量が多すぎて追っかけられないですよね。
内容をCPUとGPUの情報に限定するには次のようにします。

% sudo powermetrics -i 1000 -n 1 --samplers cpu_power,gpu_power

これでなんとなくわかるレベルになったと思います(最後に出力を加工した実際の表示結果を掲載しています)。
E -Clusterのところが(省電力の)高効率コア、P-Clusterのところが高性能コア、それとGPUの、それぞれの動作クロック数、使用率%、使用電力が表示されます。

少し長いですが、次のようにすると繰り返し表示でも一目瞭然の内容に絞り込んだ表示になります。

% sudo powermetrics -i 5000 | \
sed -u 's/(\(.*\) \([0-9]\{1,\}\) MHz:[ 0-9.]\{2,\}%)/<max \2 MHz>/' | \
grep -E 'active freq|[0-9] active resi|GPU active resi|Power:|Sampled|Machine model|OS version'

<> の中のMHzには、それぞれのコアの最大クロック数が表示されるようにしています。
最大クロックに対して、現在の動作周波数はactive frequencyのところのMHzなので、コアの使用率%はこの動作周波数に対する%と考える必要があります。

何度もこのコマンドを入力するのは大変(もちろんコピペでOKなのですが)なので、次のように定義しておけば p5 と打つだけで同じことが実行できるようになります。

% alias p5="sudo powermetrics -i 5000 | \
sed -u 's/(\(.*\) \([0-9]\{1,\}\) MHz:[ 0-9.]\{2,\}%)/<max \2 MHz>/' | \
grep -E 'active freq|[0-9] active resi|GPU active resi|Power:|Sampled|Machine model|OS version'"
% p5 

この定義は、次のように .zprofile ファイルに入れておけば、ターミナルを次回以降起動したときにすぐに使えるようになります。

% touch ~/.zprofile   # 以下の手順がエラーしないようにおまじない
% less ~/.zprofile # 事前の内容確認
% cp ~/.zprofile /tmp/.zprofile.backup # 念のためにバックアップコピーを作成
% # 次のコマンドで .zprofile ファイルにaliasコマンドを追記します
% cat >> ~/.zprofile
alias p5="sudo powermetrics -i 5000 | \
sed -u 's/(\(.*\) \([0-9]\{1,\}\) MHz:[ 0-9.]\{2,\}%)/<max \2 MHz>/' | \
grep -E 'active freq|[0-9] active resi|GPU active resi|Power:|Sampled|Machine model|OS version'"
ここで Ctrl/D を入力
% less ~/.zprofile # 追加内容の確認

最後に、p5コマンド(powermetrics コマンド+上記のα)の実際の表示内容を付けておきますM1 MacBook AirでIntel Windows 10を動かして最大負荷をかけた状態です)。

% p5
Machine model: MacBookAir10,1
OS version: 21A559
*** Sampled system activity (Wed Nov 3 11:22:25 2021 +0900) (5019.73ms elapsed) ***
E-Cluster Power: 1221 mW
E-Cluster HW active frequency: 2064 MHz
cpu 0 active residency: 98.32% <max 2064 MHz>
cpu 1 active residency: 97.68% <max 2064 MHz>
cpu 2 active residency: 97.23% <max 2064 MHz>
cpu 3 active residency: 97.12% <max 2064 MHz>
P-Cluster Power: 11246 mW
P-Cluster HW active frequency: 2988 MHz
cpu 4 active residency: 99.72% <max 3204 MHz>
cpu 5 active residency: 99.62% <max 3204 MHz>
cpu 6 active residency: 99.64% <max 3204 MHz>
cpu 7 active residency: 99.41% <max 3204 MHz>
ANE Power: 0 mW
DRAM Power: 435 mW
CPU Power: 12468 mW
GPU Power: 409 mW
Package Power: 13620 mW
GPU active frequency: 396 MHz
GPU active residency: 40.17% <max 1278 MHz: 0%>
GPU Power: 409 mW
%

ほんの少しマニアックですが、Apple Silicon M1シリーズの動作状態がよく分かるようになると思います(M1の最大クロック数(E-Core/P-Core/GPU)が、2.06GHz、3.20GHz、1.28GHzであることもこれでハッキリしますね)。
自分が普段使っているアプリの中のどの操作がどういう負荷になるのか、色々調べてみると面白いと思います。
M1 PRO、M1 MAXをお持ちの方は、表示結果をコメント欄で共有していただけるとありがたいです(匿名可能です)。

[2021-11-03] 初出に追加して、機種名とmacOSバージョンも表示されるようにしました。