2023-02-17

次のセルフメイドキーボードはLilith miniかな、カスタム刻印の実現性が見えたので [自キ沼 #24]

左右分割Aliceで70キーのLilithを作って以来、今まで経験したどのキーボードよりもお気に入りで毎日使っています(ケースに関する以前の投稿、全体像のTwitterへの投稿、Lilith v1/v2/v2.5のTwitterへの投稿)。
単に自作のキーボードですというだけではなくて、実用的なメリットつまり、左右分割で両手・両腕の自然で自由な構え方、ロースタッガードの標準キーボードに近い配置、小指の短さに寄り添った小指ブロックを持つAlice配置、この三位一体感がとても心地良いのです。

これが自作キーボードの自分にとってのエンドゲームなのか、と考えかけているのですが、もっとキー数を少なくしたキーボードには何か良いことがありそうなんだよね、とちょっと心に引っ掛かっているものがありました。
単に、コンパクトだとか、部品が少なくて済むとか、奇抜でカッコいいとか、だけではない何かがです。

7x4から5x3へ

現在のLilithキーボードは、変則的な配列にならないようキー数を省略しなかったため、7x4(それと中央にオマケの補助用に1列追加)の配列になっています。
人差し指から小指の4本の指でこの7x4を操るので、良く動く人差し指の担当が2列なのは良いとして、力の弱い小指(赤ちゃん指)が3列も担うことになってしまっています。
改めて考えると、小指の負担が大きすぎます。
そして、7x4のx4の方、数字行についても、標準キーボードとの違いを少なくする意義は大きいのですが、ホームポジションが明らかに崩れるデメリットがあります。
なんとか5x3配列がうまく実現できれば、小指の負担が少なく、ホームポジションが全く崩れないキーボードになります。

カスタムレジェンドの必然性

自作キーボードでキーマップを色々工夫するのはひとつの醍醐味ですが、どのキーがどこに割り当てられているのかを完全に記憶して即座に入力するのは、やはり脳に余計な負担を強いるものです。
記憶の補助手段として、キーの刻印(レジェンド)がとても有力なのですが、標準的な配列から離れるほど、出来合いのキーキャップがどんどん使い物にならなくなってしまいます。
自分のキーマップが確立したら、カスタムな刻印のキーキャップを作ってしまえば良いのですが、自作キーキャップ作成手法としてなかなか満足できるものが見つかりませんでした。
そんな中、実績のある既成品のPBT素材のブランクキーキャップに、フルカラーでUV印刷してくれるサービスが遊舎工房さんで提供されていることを知りました(1キーのみのお試しや、モノクロのレーザー印刷もあり)。
これで、非標準なキーマップにならざるを得ない5x3配列キーボードに対する、実用的な実現性が、わたしの中で現実味を帯びて来たのです。

では、やってみよう

となれば、まずはKLEでの配列設計とマップのシミュレーションです(自作キーボード作業の中でKLEが一番楽しいですね、今回は見た目も、よりリアルな色をつけてみました)。
分割AliceのLilithの形状は維持しつつ、小指の担当を1列になるように削ることで5x3にし、キーマップが無理なく収まるかどうかを試行錯誤してみたのが下の図です。
名付けて、Lilith miniです。

親指ブロックは、Ctrl/Opt/Cmdなども含めてダイレクトに入力できるよう一切省略しないことにしました。
数字・記号系と、カーソル・Fn系の、単純な2レイヤで、なんとか綺麗に全キーを収められそうです。
なお、数字は、左右分割しているとものすごく入力しにくいのを今も感じているので片手側に集めたかったのと、キーボードでは多数派の電卓配列(789が上の行)よりも電話配列(123が上、789が下)の方がスマホで見慣れているので、そちらを選んでいます。
標準キーボードでのShift+数字で入力する記号群は、Shift+Mod1+数字の3キー同時押しにはなりますが、標準キーボードと同じ割り振りのメリットの方が大きいと考えてそのままにしています。
他の記号は ~ と | 以外は、ShiftなしのMod1レイヤで直接入力出来るようにしています。
Esc、Tab、CapsLock(OS側で漢字ON/OFFに割り当て)はMod1レイヤのQAZに、Shiftは思い切って親指中央に割り当てました。
親指ブロックがどのみち中央側に伸びるので、メインブロックの中央側の追加1列は、ケースのスペース的にはそれほど負担にならないし、片手だけでの操作に重宝するので継続採用です(ジョイスティックについてはまた別の機会に)。
カスタム刻印で、Mod1とMod2(RaiseとLowerと言った方が良いかも)を色分けすることで、より直感的で分かりやすくなるのではと考えています。

なかなか綺麗に収まったと思いませんか。
これならキーマップの記憶負荷が少なく、かつホームポジションが全く崩れない、実用的なキーボードが実現できそうです。
まあ、今は単に絵に描いた餅かもしれず、こればっかりは実際に作って使ってみないと分からないですね。
PCB基板は現状Lilithもリバーシブル化で製造コストを節約できているので継承します。
Lilith miniでは、カスタムレジェンドが最大のポイントなので、手始めとしてキーキャップの印刷データの作成から始めるのが良さそうですね。

この投稿は、寒い日にベッドの中で、iPadのソフトウェアキーボードで入力した後、セルフメイドLilithで手直しして作成しました。
Lilithのまとめを書きかけて長くなってしまっている中(なのでLilithの現在形の投稿がまだできていない)、今回のアイデアが浮かんできたので、こちらを先に投稿しました。
Twitterにもつぶやいておいたので、ご指摘、励ましなど、お気軽に返信いただけたら、大きな励みになります。


[2023-03-27] ここで考えていた5x3配列だと、TabやShiftやEscの入力がどうしてもまごついてしまうことが、1週間ほど使ってみて分かりました。
頭の中だけで考えたものは必ず実際に動かして確かめるのは大事ですね。
今後は6x3に舵を切りたいなと思います(今日の投稿)。
TabやShiftは入力頻度がそれほど多くないし、右手側も;’がダイレクトに入力できるようになってメリットが大きそうです。
Escは青Mod+Tと人差し指で押す方式に、カッコ系(()[]{})は中指と人差し指押しにして人差し指だけを忙しく動かさなくてもよいように考えています。
数字行がないことをカスタムレジェンドでどれだけカバーできるかが、今後のポイントかなと思います。