2022-08-30

自作自称Lilithキーボードの現在状態、プレートが来ました、基板設計中 [自キ沼#7]

8月が終わる前に、試作キーボードの現在の状態です。

FR-4のトッププレート(キープレート)が来たので、試作Lilithをバラして、スイッチをはめ込みました(はじめてのPCB発注の経緯は以前の書き込み、Lilithの構想はそれ以前の書き込み)。

  • キースイッチの穴は少し緩めですが、chocスイッチの爪がきちんと引っかかって安定しました。プレートの効果大です。FR-4の厚みはchocスイッチの寸法通り1.2mmを選びました。次回はきっちりした穴のサイズにしたいと思います。
  • ジョイスティックの穴は少し狭かったのでやすりで削りました。金具が付いている部分がネットで見つけた図面よりも少しずつはみ出しているためです。これも要改善。
  • SU-120の試作基板の時からキー配置を変えたので、SU-120で作成していた物理構造を一部バラしてプレートにはめ込みました。プレートがあるので、SU-120自体は固定していなくても構造が安定しています。ソケットでキースイッチをホットスワップにする場合は、プレートは大事ですね。
  • 実はSU-120はケアレスミスで白を選んでしまったのですが、今となっては、試作中はかえって映えて良かったかも、と思っています。
  • 配線についても届かなくなった部分はバラしました。再度の配線はまだしていないので、いまは動作しない状態です。
  • キー配置を変えたのは、右手Backspace/Delの部分を削減して双方8x4にすることで左右の全体サイズを揃えたかったのと、基板をリバーシブルにして節約したかったためです。
  • オーソリニアや純粋なカラムスタッガードは左右対称ですが、Lilithは行方向にズレているAlice配置です。どうやってリバーシブル基板にするかと言うと、こうです。
  • 数字行と0.5uズレのQ行はリバーシブルで左右共通、A行とZ行それと親指キーを合わせたブロックは前者とは別のリバーシブルの左右共通と考えました。ジョイスティックがあって配線が複雑な右手側は一体の基板にし、左手側は上2行のブロックと、下2行と親指キーを合わせたブロックを分割し、ズラして配置することで左手側の基板になるように考えました。左手側は基盤をカットしてしまうので、上と下のブロックの間は配線あるいはコネクタ接続になります。何日もキー配置を眺めているうちにこのアイデアが浮かんできました。大きくカスタマイズしたSU-120といった感じですね。
  • 上と下のブロックの間(Q行とA行の間の)ズレ量は、左手側は0.25u、右手側は右手ホームポジションで逆T矢印と数字が押しやすいように0uとします。なお、下ブロック内のA行とZ行のズレは標準キーボードでは0.5uですが、わたしの場合は、Cキーを人差し指でもっと押しやすくするように0.75uとします。右手側はオーソリニアに少し近い形になります。
  • ジョイスティックは右手のいわゆるBキーの位置に変更した(試作の実機での気付き)ので、ホームポジションからアクセスしやすいです。
  • このジョイスティックは、左手のBキーと共通の位置です。右手側は基板を切り取ってジョイスティックを埋め込めるようにします。高さもchocスイッチといい感じで釣り合います。
  • ジョイスティックの見えている部分は1uに綺麗に収まるのですが、ネジ止めのベロが少し外にはみ出している(隣のキーの隙間に収まる範囲なので配置的にはセーフ)のと、接続ケーブルがあるので、どうしても1uに収まるユニットにならないのが残念です。独立ユニット基板として、1.5uサイズくらいにならできる可能性があるかもしれません。Cherry MX用として考えると、高さ方向に基板を積み上げても良いかもしれません。
  • ミドルプレートと、簡易的なケースとしてのフレーム枠も、FR-4で作成するつもりです。キーボード全体ですき間のないソリッドにします(わたしは未体験のサンドイッチマウントとは対極だと思います)。なお、今回のキープレートはボトムプレートとしても共通化できるように考えて作ったつもりです。
  • 基板は、ジョイスティックの0.5mmピッチのFPCコネクタと、高さを稼ぐための1mmの表面実装ダイオードをはんだ付けする自信が到底ないので、JLCPCBのPCB Assembly発注に挑戦したいと考えています。

現在、KiCADで基板と格闘しています。
キーキャップについては、またまた欲が出てきたので、改めて投稿したいと思います。

この投稿は、Sparrow62 v2+片側だけLDSAロープロファイルキーキャップ を使って書きました。

2022-08-18

一年の時を経て、ペンタゴナワールドの物語が再開 「重戦機エルガイム」のYouTube配信が2022年8月25日から

去年、13話まで公開された「重戦機エルガイム」(去年のわたしの投稿です)の続きが、YouTubeのサンライズチャンネルで来週からプレミア公開されるそうです(まんたんウェブの記事にて)。
今年はエルガイムは木曜日20時なので8月25日からですね(予告の詳細に告知あり)。

エルガイムは今の時代では考えられない1年物の全54話なので、たぶん今回の公開も1クール分になるのかと想像しています。
MkIIの登場まで見れるかどうかですね(Wikipedia各話リスト)。

いずれにしてもシー・ユー・アゲインが叶いました。

2022-08-15

JLCPCBへPCB作成とキーキャップの3Dプリントを発注してみた [自キ沼#6]

(8月18日、末尾に追記しました)

SU120での試作キーボード作成は、完璧に動作させることまでが可能ですが、キースイッチを固定するトッププレート(または単にプレート)がないために、どうしてもフニャフニャしてしまい本格利用には無理があります。
プレートの素材としてアクリルは適度な柔軟性があって良いようですが、最低の厚みが2mmまでしかなくて、Kailh chocのプレート仕様の1.2mmに合いません。
PCB基板の素材であるFR-4であれば、厚みの選択肢が多く、複雑な形状の加工も作成発注できます。

PCBの作成サービスは有名どころが何社かありますが、その中で比較的低価格を売りにしているJLCPCBについて調べ始めました。
PCB素材もFR-4以外にアルミも選べて、さらに表面実装部品の工場組み立てサービスもあるようです。
ちっちゃいダイオードやアナログジョイスティックの0.5mmピッチコネクタのハンダ付けは、自分では成功する気がしていなかったのでこれはぜひ試してみたいです。
(さらにPro MicroのArduinoチップ(いまは高価)やRaspberry PI PicoのRP2040チップも選べるようです;コントローラ部分の厚みは確実に稼げますが、キースイッチの位置にはおそらく配置できないので底面積はほとんど稼げず、メリットがあるかどうかは今後の検証が必要です。)

さらに3Dプリントサービスもあり、手作業の手作りではどうにもならない、キーキャップやケースの作成も依頼できることに気づきました。
チャット問い合わせもできて対応が早いのですが、唯一かつ最大の難点が英語のみという点でしょうか。

前回の投稿でも書いたように、ちょうどKailh choc用の独自LDSAプロファイルのキーキャップの3Dデータが公開されているのを見つけました。

  • 公開されているデータはcorne用(corneの派生corne-ish ZEN用)なので、1u通常キー、1uホーミング、それとMBKにはない1u親指(手前の高さが下がっているコンベックス)と、縦長の1.5u親指キーの構成です。
  • どうしても欲しかった、横長の1.5u親指キーは、1u親指キーを切り貼りして作成しました。3D CADなので、切り貼りは切り取り線じゃなくて切り取り面を指定して元データを分割、キートップ部分を横に伸ばして元の配置で合体させました。Autodesk Fusion360の基本操作はしばらく触っているうちに分かりました(FreeCADも触ってみましたがわたしにとってはとっつきが悪く勉強が必要そうでした。なおパソコンはM1 MacBook Airを使っています。KiCADも含めてRosetta 2で問題なく動いています)。
  • 3Dプリントに限らずJLCPCBでの発注は一品ごとに最低料金と場合によっては技術料がかかるので、キー10個で一つのデータにして品数を減らすようにしました(小部品の連結の上限10個はデータルールにあり)。プラモデルのランナー(枝)のように、外から見える表面に切り取り箇所が露出しないように、太さ1.5mm長さ5mmのコの字型の円筒をキーキャップの下面に連結しました。1u通常キーx10のパーツは1品で最低料金の$1に収まったようです。
  • これでSTLファイルを作ってJLCPCBにアップロードし、黒色レジンを指定して発注したのが日曜日。データのレビューはなぜか一発で通って火曜日に製造完了しました。今は香港の近くの深センに物があって海外便の輸送を待つのみ。クーポンを使って金額は70キーで¥1,300。まだ手元になくて、どんな出来栄えになっているのか楽しみです。

次に発注したプレートの方はいろいろ欲張って盛りすぎたためか、配線がない単純な板なのに、キーキャップよりも苦労しました。

  • Keyboard Layout EditorでわたしのLilithのキー配置を入力し、DXFファイルを生成。これをKiCADのPCBエディタに読み込んで、グリッド原点を合わせながら、キースイッチ穴のフットプリントを配置しました。小指キーの斜めになっているところは、フットプリントに13°の角度だけを数値指定して拡大しながら目分量で配置しました(一度配置した場所は基準と決めて後工程ではもう動かさない)。さらにキーボードの外形をEdge.Cutsレイヤにお絵描きして、基本形は完成。
  • デザイン性も考え、左右ブロックの外形面積を同じにしたくて、右手端で出っ張っているバックスラッシュキーだけは別の場所へ移動することにしました。これで右手側は6〜0と- = Backspaceの8列。左手側は、Escとバッククォートと1〜5、さらに中央にDelなどの追加キー列1列も設けて、左右ともに8x4に共通化できました。
  • わたしのLilithはキー配置が左右非対称なのでプレートはリバーシブルにできません。せめて、キースイッチをはめるプレートとボトムプレートをなんとか共有して、PCB費用を節約できればと考えました。そのためにコントローラやTRRSジャック部分を選択切り取り式にしました。
  • 初心者のわたしが苦労したのがこの切り取り線です。1回目は2mm幅のスロットを40mm程の長さでくり抜いて(始点終点は四角ではなくて半円)、1mmの間隔を開けて配置したのですが、残す部分が小さ過ぎて製造過程で折れてしまうとの指摘でリジェクト。2回目は同じスロットで、間隔を2mmに、間に2mmの丸穴を配置して一点鎖線にして多少補強してみましたが同じくリジェクト。2mmの丸穴部分は最初はEdge.Cutsに単純に円形を描いていたのですがこの切り取り工程に無理があると思い、直径2mmドリル穴に変更し製造しやすくしてやることで、ようやくレビューが通りました。
  • ドリル穴の作成は、例えばキースイッチの足部分のフットプリントではパッドの属性でNPTH(non-plated through hole; 電気的に導通させないスルーホール穴)を指定したものが使用されていますが、PCBエディタの中ではなぜかパッドを作れません。代わりにピア(via; 多層基板のレイヤ間を接続するメッキ穴)で穴の径を指定してドリル穴を作成しました。
  • さらに、右手用と左手用の斜め部分をうまく組み合わせて(片方を反転)、全体の材料面積を少しでも節約してみました。
  • このプレートの方は、5回のレビューに4日かかり、今日月曜日の時点でやっと製造ラインへの投入待ちです。クーポンを使って金額は最少5枚で¥4,800になりました。100mm x 100mmを超えると材料代金が掛かるのと、追加技術料¥1,000(日曜だったのでチャット窓口が開いておらず後日問い合わせます)、送料も最安¥600のOCS NEPが選べない上に重量料金になります。材料のボードサイズは360mm x 120mmでした。

キーキャップ、プレートとも、実際どんな物が来るのか、到着が待ち遠しすぎます。

この投稿はLilithプロトを使って書きました。


[2022-08-17] PCB製造の追加料金の¥1,000は、切り抜き・くり抜き(Routing)が多いためと回答がありました。
確かにキースイッチの部分含めて90箇所くらい穴を開けている(ドリル穴は除く)ので、多いんでしょうね。
右手と左手を一緒にして節約と考えたのですが、かえって高くなってしまった可能性があります。
キー数が多い(ゆずれない要件ではありますが)のも、こういう面でコストに影響ありますね。

プレートでしっかりスイッチを保持できるようなら、基板回路は100mm x 100mm以下にバラバラにしてしてしまってもいいのかも、と真剣に考え始めています。
SU120を超カスタム化する感覚です。

PCBの進捗経過は、月曜日にレビュー通過&正式発注、火曜日に製造完了&出荷待ち、です。
キーキャップの3Dプリントの進捗経過は、先週月曜日にレビュー通過&正式発注、火曜日に製造完了、(少し手違いで遅延があって)金曜日出荷、翌水曜日の今日 関空到着です。

[2022-08-18] 翌木曜日午前、キーキャップ到着しました。
第一印象悪くないです。
気のせいかもしれませんが、肌触りが粉っぽいというか、指に何かが付着する印象なので、いちど極薄の洗剤で洗ってみます。

2022-08-05

Kailh choc用のキーキャップの新しい選択肢LDSA [自キ沼#5]

自作キーボードのキースイッチはロープロファイルのKailh chocがお気に入り、と言うか自分の中ではロープロファイル縛りを設けています。
キーキャップの方は、素材としては、ABSプラスチックは昔から肌触りが好きじゃない印象があって初めからスキップ、PBTのMBKが結構良い感じだと思っています(游舎工房ではカラフルな品揃え)。
Cherry MXの世界では、キーキャップだけも数多あって一つの大きな沼になっているようです。
キーキャップによって、打鍵音や、入力のし易さも変わるそうです。

Kailh choc用にMBK以外の選択肢がないもだろうか、といろいろ漁っていて見つけたのが、写真のLDSA profile keycapです(Low profile DSAだそうです)。
通常のキーはくぼみが大きいグラマラスな形、親指キー用に角が取れた形(コンベックス)と、ホームポジション用(ホーミング)もあります。
是非とも触ってみたいのですが、今のタイミングでは販売されていません。
仮に発注できるタイミングに出会えていたとしても海外発送なので送料がバカバカしいことになっていた恐れがあります。

このLDSAですが、うれしいことにCreative Commons, non-commercial licenseで3Dデータが公開されていて(自作キーボード界の良いところですよね)、自分で印刷することもできそうです。
でもどれくらいの費用が掛かるのか見当もつきません。
ある程度の経済性(カスタムキーボードのように高すぎない)も自分の中での必須条件のひとつです。
3D CADもちょっと勉強して、自分の中の3Dプリントの最初の課題として、このキーキャップにも取り組み始めたいと思います。

[2022-08-07] なんと、KiCADよりも先にFusion 360をいじくり始めています。
プラモデルの元を作る要領でしょうか。
レジンのキーキャップはどんな感触なのかも未知数ですね。