2022-10-25

やっと組み上がったLilithキーボードの秘密をあれこれお教えします [自キ沼#12]

ここ2週間ほどは本業で多忙が続いて、自作キーボード活動に時間を使えなかったのですが、やっとこの週末にハンドメイド(セルフメイド、オリジナル設計)のLilithキーボードを組み立てられました。

キーマップやジョイスティックのファームのチューニングはまだですが、現物を実際に見て触れるとまた新たな欲が出てきたり。。。

いったんここで、わたしがLilithキーボードに詰め込んだ内容をお披露目しておきたいと思います。

  • まず、キー配列に関して、カラムスタッガードではどうしてもCのキーが人差し指で押しにくく、かと言って単純なロースタッガードだと小指の運指が忙しすぎ、かつ小指の可動域を超えているのではと考えました。そこで、短い小指担当のキーを手前に寄せて置けるAlice配列を試してみようと決めました。さらにトラックパッドなどを中央に置きたかったのでAliceでも分割キーボードにしました。(蛇足:標準キーボードでは、上段から下段に向かって行の配置が一様に右にズレていますが、それを使う手の方の構えは、右手は右ズレで合っているのに、左手は左ズレなので、わたしはCのキーは右手中指よりも人差し指でどうしても押したいのです。ブラインドタッチの教科書では右手も左手も各指が右ズレでキーを担当する、となっていますが、改めて考えるとおかしいと気付きました。)
  • はじめて全体を組み上げてみると、8層のFR-4の積層ボディーはずっしり重く、変な振動も抑えられているように思います。プレートの上もケースで囲んでいるのも効果ありのようです。もちろん机に当たる面はデスクマットやゴムシートで和らげてやる必要はあります。
  • 回路基板はリバーシブル使用しています。カラムスタッガードで左右対称の場合にはリバーシブル基板は一般的ですが、行方向にズレているAlice配列では珍しいと思います。このためにひとひねりしていて、ジョイスティックがあって配線が多い右手側を基本にして、左手側は2行目と3行目の間でカットして、裏返しして0.25uずらして配線接続することにしました。小指ブロック以外ができるだけ通常のロースタッガード配置に近くなるようにしました。右手側はI-JKLを逆Tカーソルで使いたいので、この間の行のズレはあえて0にしました。切り取ってズラすことで、うまい具合にリバーシブル化でき、基板発注の無駄も減らせたと思っていますす。
  • 右手側のいわゆるBの位置にアナログジョイスティックを埋め込んでいます。パーツは非常に多く出回っているNintendo Switchの保守パーツです。基板を切り抜き式にして、このパーツが基板に沈み込むようにすることで、ジョイスティックがchocのキーの高さにほぼ合うようにしました。(この部分、Cherry MXスイッチ前提だと、逆に高さの嵩増しが必要で、プレートの上にジョイスティックパーツを載せることになりそうです。)
  • アナログジョイスティックの動きはPro Microのアナログ入力で読み取るのですが、パーツを接続していないオープンな状態では信号が安定しなくて、ポインタが勝手に少しずつ動く現象が出ていて最初とても心配しました。実際にパーツを接続すると信号が安定して大丈夫になりました。パーツなしでも安定するように大きめの抵抗を入れ、未接続でも電圧をかけるようにしたほうが何かのトラブルの時のことも考えると良いかもしれません。
  • スイッチプレートの厚みを1.2mm、ミドルプレートを1.0mmにして、chocスイッチのツメがきっちり引っかかるよう、かつプレートと基板の隙間をなくすようにしました。ただし、スイッチソケットの足が1.2mmあることを考慮せず基板を1.0mmにしてしまったので厳密には0.2mmの隙間が残っているはずです。次回は基板を1.2mmにします。
  • スイッチプレートとボトムパーツを共有しています。プレートに開いているスイッチの14mmの角穴が、ボトム側でちょうどソケットの出っ張りを逃がすのに都合よい大きさだからです。ソケットはスイッチの中央にあるわけではないので、ボトム側で重ね合わせる位置は0.25uくらいずらします(写真でボトムが前面にはみ出しているのはそのせいです)。ソケットの高さは2mmくらいあるので、プレートとミドル(これも上面と共有パーツ)を基板の下に置いてちょうど良い高さになります。実際に組み立ててみたところ、ソケットのパッド部分が思ったよりも長くて収まらなかったので、少しやすりで削ってはめ込みました。
  • 全体として、下から1.2mmのボトム、1.0mmのミドル、1.0mmの基板、1.0mmのミドル、1.2mmのプレートと来て、プレートの上に1.6mmのフレームケースを3枚の、合わせて8枚10.4mmのFR-4積層になります。これ全体をM2ネジで固定しています。がっちりソリッドな構造に、プレートも基板も含めて全体が一体化しています。これって何マウントと呼べばよいのでしょうか、よくわかりません。
  • このケースで、あとは、キーキャップが約4mm上に出るので、キーボード全体で約15mmの高さ(低さ)です。Sparrow62キーボードの74thさんの目指した低さと同じ水準になります(74thさんの記事「自作キーボードでキーボードの低さを目指した話」)。
  • 使用した黒色のM2低頭ネジは長さが10mmまでしかなかったので、最上層とその下をハンダで固定し、最上層に六角の穴を開けてナットを埋め込むようにしました。こうすることで、ネジの先やナットが上に出なくなります。これはSU120の作者のe3w2qさんの「霞襲(かすみがさね)」マイクロキーパッドのアイデアを真似させていただきました(e3w2qさんの記事「着せ替えできるキーパッド、霞襲を作りました」ビルドガイド)。
  • ケースを構成するフレームパーツとミドルパーツはコスト安の100mm x 100mmに収まるように分割したものを組み合わせることにしました。なので、切り離し、ヤスリがけ、組み立てと、とにかく手間がかかりましたが、コストは最小限に抑えられたはずです。
  • アナログジョイスティックはファームを調整中です。画面上のGUIボタンにスッと移動して押せるくらいの自然な動きが目標です。さらに画面上に丸を描けるくらいに滑らかだと究極ですね。実はそもそもジョイスティックは斜め移動が苦手のようで、さらにこのパーツでは斜めにスティックを倒した時に出力される信号が水平垂直に比べてなぜか弱めにしか出ません。

(写真を交えて説明すればいいのは分かっていますが、まずは手間をかけずに思いを吐き出してしまいたく、よろければこのブログのコメント欄またはTwitter @taka8aruにメッセージをいただければ補足説明いたしますし、大きな励みにもなります。)

この投稿は、Sparrow62 v2+片側だけLDSAロープロファイルキーキャップ、を使って書きました。

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