2022-12-02

ロープロファイルはchoc v1だけじゃない、実際にいろいろ触れて試してみた [自キ沼 #17]

左からchoc v1、choc v2、Gateron Low Profile
choc v1/v2の導通ピンは同じ、v2は追加の固定用ピン、
Gateron LPの導通ピンは配置角度がMXと逆で独自
中央丸足はchoc v1だけ極端に細い
ロープロファイルの自作キーボードを作ろうと思ったら、Kailh choc v1が定番中の定番で、代表的な3色以外の軸のバリエーションもずいぶん増えてきていますよね。

わたしもロープロファイルにこだわったキーボードを作っていく中で、最新のSunsetタクタイルに大きく期待し、グループバイ (GB) までして手に入れたのですが、残念なことに、いまひとつ好きになれていません。

  • choc v1 Sunsetタクタイル:しっかりしたタクタイル。押す時の重さは少し軽い(Red Proと同じバネが使用されているらしい)。1.5uのキーキャップをつけたTab/CapsLock/Shiftキー(リバーシブルにするためにスイッチの向きも通常とは逆)が押し込んだ時になぜか引っかかり感あり。頑張ってタクタイルを強調しているためか音も少しうるさい感じ

ほかにわたしが持っているスイッチは次の通り。

  • choc v1 Brownタクタイル:これで自作キーボードに入門。平凡な印象。悪く言えばおもしろみがない
  • choc v1 Pinkリニア:つぎは攻めて最軽20gに。新型らしく、スムーズさは抜群だけど、軽さがピーキーすぎる
  • Pink軸にBrownのバネを入れ替え:スムーズさと重さがちょうど良い感じ。でも毎回改造するのは…
  • choc v1 Red Proリニア:では定番はどんなものかと購入。少し軽めなのは良いとして、どうしてもハウジングの赤色が目に触る。もしも落ち着いた色味だったらコスパも悪くない(単価66円)のでここで終着していたかも

キーキャップに関しては、

PBT素材しかないと思いMBK(レジェンド付きはあまりにも高価なのでブランクのみ、1.5uのカラバリが簡単に手に入らないのが残念)、
レジン3DプリントのLDSA(立体的なキーキャップを試したくて製造発注、17mmピッチ用の設計だったのでキートップが狭めでしっくりこず)と 、
lpCherry(シリンドリカルステップスカルプチャーと自作レジェンドのテスト)

と試してきました。

キーボード本体との組み合わせにもよるのでしょうが、なかなかこれといった収まりどころが見つからず、つぎはchoc v1詰め合わせで総当たりで試してみるしかないか、と考えはじめていました。

もともと、わたしのメカニカルキーボードに対する印象は、キー入力すること自体に対するスイッチの安心感はあるのだろうけれど、ガチャガチャうるさくて、デカくて、そのうえパームレスまで余分に必要だなんて、というものでした。
なので、自分のセルフメイド(ハンドメイド?)の自作キーボードでは、Cherry MX互換の通常キースイッチは、のっけから候補から外していましたし、今もまだそうしています(とは言うものの、遊舎工房さんで色々触ってみた中で静音軸は気になってはいます)。

そんな中、市販のメカニカルキーボード製品のNuPhyやKeychronに、薄型でホットスワップのものがあること、交換用のスイッチやキーキャップが容易に手に入ることに気が付きました。
安価(たとえばNuPhyのGateron Low Profileスイッチは単価45円、キーキャップは75%セットが3,500円しかしない)なことと、いま持っているSparrow62がchoc v1/v2とMXの3種対応(ただし、後述)なこともあり、早速手に入れてみました。

まず選んだキースイッチはGateron Low Profile赤軸です。
現物が到着し、Sparrow62 にはめようとしてもどうしてもはまらないことで、やっと気付いたのですが、このスイッチって、PCBフットプリントがchocともMXとも違う、独自のものだったのです。
キーボード本体に実装しないとスイッチの押し心地は全然わからないので、いったん導通足を 2本とも折り曲げて差し込んでみました。
いきなり専用フットプリントを強いられるのはさすがに辛いので、追加のお試しとしてKailh choc v2も手に入れて(単価77円)比較することにしました。

Gateron Low Profileとchoc v2は共に高さ含めてサイズはchoc v1とほぼ同じです。
NuPhyがnSAプロファイルと呼ぶ薄型キーキャップを付けると、うまい具合にchoc v1+MBKキーキャップとほぼ同じ高さに収まります。

押し心地は、choc v1がどれも全体的にカチャカチャした高い音程なのに比べて、低めの音程のコトコトに近い音で、軸の滑らかさがあります。

小型向け設計のchoc v1は軸やハウジングがどうしても薄手になってしまっているのに比べて、軸も太く、通常サイズのスイッチの質感を残したずっしりした作りになっているからだと思います。

  • Gateron Low Profile Redリニア:choc v1とは明らかにレベルの違う安定感と音質。ただしPCBフットプリントが独自
  • choc v2 Redリニア:Gateron LPに比べるとchoc v1に少し近い感じ。軸の物体としての体積がv1よりは大きいけれどGateron LPよりは小さいためか。PCBフットプリントはchoc v1とほぼ同じで、丸足が太くなっただけ(4本目の追加足は切り取ってしまっても良いはず)
  • choc v2 Brownタクタイル:choc v1 Brownのように相変わらずタクタイルが弱く、Redの単に少し重たい版といった感じ
  • Gateron Low Profile Brownタクタイル:思い切って追加で発注。choc v2 Brownよりも明らかにしっかりしたタクタイル。choc v1 Sunsetよりは弱い。フル実装してみないとわからないですが、Redとの音の差はあまりなさそう

なおこの2種類ほかにも、Outemu Low Profileと、Cherry MX  Low Profileがありますが、前者は高さがそれほど低くなく、後者は入手が難しそうなのと丸足が独自の形なので、わたしの候補からは除外しました。

フットプリントは定番のchoc v1とそれぞれ違うとはいうものの質感がとても良くて、ロープロファイルの選択肢の幅が大きく広がりました。
MX互換のキーキャップが使えるのも大きなメリットです。

つぎの試作では、choc v1/v2とGateron Low Profile、それに可能ならCherry MXの4種対応のPCB設計にチャレンジしてみたいと思います。
自作キーボードはもともと、一品モノで、どのみちPCB設計もその都度なので、フットプリントの違いくらいは大したことない、と考えることにしました。

スイッチの、とくにロープロファイルの比較情報があまり出ていないようなので、思い込みや偏見も多分に入っているとは思いながらも書いてみました。

この投稿は、iPadのソフトウェアキーボードで入力した後、セルフメイドLilithキーボード+choc v1 Sunsetで編集しました。

 

[2023-01-03] さらに光学式のロープロファイルのスイッチ Keychron Low Profile Optical も手に入るようで、次の投稿に机上の考察のレポートを書きました。

メカニカルなGeteron Low Profileのフットプリントについて、実際にソケットを入手して試してみての投稿はこちら

それと、セルフメイドのLilithキーボードは、左右リバーシブルを優先してGateron Low Profileスイッチ専用にしました(chocは切り捨て)。

[2023-11-05] Gateron Low Profileキースイッチについてのまとめ記事はこちら

[2023-11-05] 巷で「ロープロファイルキーボードの歴史を変えた」と話題のLofree FlowのスイッチはハウジングまでPOM素材になっていて、これが打鍵感に大きく貢献しているようです。フットプリントはchoc v2互換ということが分かりました(@foostanさんの検証)。
このスイッチ、リニアのGhost、タクタイルのPhantom、クリッキーのWizardの3種類あります。
その中で、タクタイルだけ技術的制約のためなのか、プリトラベル(動作点)が1.6mmと、他の2つの1.2mmより深く設定されています、不思議です。
Lofree Flow本体を買わずに(あるいは本体への追加を後で)スイッチ単体でも買えるようになっています

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