2022-07-17

自作キーボードの沼へ、その2:自作第一号Lilith proto - Alice配列、左右分割、薄型、ジョイスティック

下がジョイスティック付き自作プロト1号

作りました、本当の意味での自作(本人が作った)キーボードの第一号です。
前回の投稿の、カラムスタッガードと十分な追加キーを備えた74thさんのSparrow62 v2(ご本人の紹介記事)で、すっかりメカニカル自作キーボードの魅力の虜になりました。
既存のキーボードで満足できればよかったのですが、個々人のクセや好みを満たせない面がどうしても出てきてしfまいます。

そこで、わたしとしてやりたいことを整理して進めることにしました。

Sparrow62から取り入れたい利点:

  • フルキーボードの、矢印キーとFnキーを除くすべての文字をレイヤ切り替えなしで入力できるだけの十分なキー数
    (6x3をSparrow62上でシミュレーションしてみましたが、どうにも頭と指がついていけませんでした)
  • ロープロファイル
  • 左右分割で、気分に合わせたタイピング

追加したかった機能、特性:

  • カラムスタッガードだと、人差し指でCを押す癖にどうしても対応できず(Fのすぐ下をCを置いてしのいでいるほど)、Aの段とZの段が横に0.5uズレた標準キーボードに近い配列を兼ね備えたモノを実現したい
  • 小指が短い方なので、左右端の小指担当キーはカラムスタッガードでももっと下にズラして届きやすくしたい(たとえばRemapの共同作者YoichiroさんのLunakeyのように)
  • この2つをちょうど併せ持つAlice配列が良さそう
  • 左右分割キーボードはMagic Trackpadを中央に置けますが、大きいので、キーボード自体にポインティングデバイスが一体化されているのが理想かも
    ゲーム機(Nintendo Switchなど)のアナログジョイパッドの部品が潤沢に手に入るので繋いで試してみたい

第一号なので、配線やレイアウトが、簡単にカット&トライができるのが重要と考えました。
これにうってつけのキットがe3w2qさんのSU120です。
事前にPowerPointなどでレイアウトを練り、アナログジョイスティック部品(例えばAmazonのこれ)も取り寄せてテストした上で、実際の組み立てに取り掛かりました。
このレベルのものは、いわゆる動作検証用のプロトタイプですね。

組み立ては1日2〜3時間のペースで進めて、3週間ほどかけて、一通り組み上がって使える状態になりました。
写真が現在の姿です。

  • キー数は、左側25+親指5+追加3と、右側30+親指5+マウスボタン2の、合計70キーです。自作キーボードとしては少し多めになってしまいました(たぶんキー数は少なくするのがコツなのかもしれません、部品も手間もかかりました)
  • アナログジョイスティックがいい感じの薄型で、サイズがほぼピッタリ1uなので、収まりが非常に良いです。ブランク基盤の1コマに結束用の針金で縛っているだけですが、意外とグラつきません。0.5㎜ピッチのFPCリボンケーブルから標準ピッチへの変換ボードもテープで張り付けています
  • 左右クリックや、クリック・ホールドしてドラッグ、縦横スクロールにも対応していますが、遠くへ素早く移動したい時のために加速度をつけるチューニングが必要と思っています
自分の取り組みのご紹介としてまずは投稿しました(工夫した点やファームウェアに関しても整理したいと思います)。

この記事はLilith proto(仮称)を使って書きました。

2022-06-26

自作キーボード沼へ、その1: 薄さと絶妙なキー数が使いやすい Sparrow62 (+1) v2

わたしのSparrow62 (+1) v2、
矢印キーは試行錯誤中の状態

先月の書き込みでは、Kinesis Freestyle2というメーカー製の分離型エルゴノミクスキーボードを購入した顛末をご紹介しました。
Freestyle2を使って次のことを学びました。

  • 高さがあってタイプ音がうるさい印象のメカニカルキーボードスイッチを避けることができる
  • やはり分離型キーボードはより体に自然にフィットして、肩や腕に優しい、トラックパッドは真ん中置きが絶対的に良い
  • 厚めのキーボードは後方をチルトしないと奥の方のキーに指が届かない。手首を机に付けるタイピングスタイルでは指に負担がかかって疲れやすくなる
  • WindowsとmacOSのキーカスタマイズツールを使って、ある程度の入力キーの置き換えを行なってみたものの、どうしても限界があり、結局はフルカスタマイズできないと飽き足らなくなる

そして、より良いキーボードを求めてさらに色々と物色し始めました。
自作キーボードであれば、キーのカスタマイズはほぼ無限に自由にできます。

  • 多くのものは通常サイズの背の高いキースイッチ(Cherry MX互換)だけれど,少数だが背の低いLow Profileのキースイッチ(Kailh  choc)を採用あるいは両対応のものあり
  • 分離型のキーボードが自作キーボードの中では多数を占めていて、いい感じ
  • キーボードのキーの数も様々で、数字キーを含んだ6x4と、アルファベットのみの6x3に二分されています。6x3はホームポジションを一切崩さないメリット(ホームポジションの範囲にしかキーがないので崩れようがない)はありますが、Modifierをそれも複数を駆使しないと必要な文字が入力できません。わたしはコンパクトさよりも標準キーボードのようにすぐに全ての文字を入力できる方が好きだと思いました
  • キーの配列は、標準キーボードのように上下に隣り合ったのキーが横にズレているもの(ロースタッガード)と、指を斜めに動かさず前後に曲げ伸ばししてキーを押せるようにしたもの(格子状配列のオーソリニアと、中指・小指等の長さに合わせて縦に多少のずれがあるカラムスタッガード)があります

数ある自作キーボードキットの中で、作者さんが薄さにこだわって、かつ、キー数も過不足ない数を載っけた作品がありました。
それが、74thさん作のSparrow62 (+1) v2です(キーボードのビルドガイドBoothでの販売ページ遊舎工房での販売ページ)。
自作キーボードキットではありますが、初めてでも安心な組み立て済みのものも提供されている点もポイントが高いと感じました。

わたしの自作キーボード第一号(とはいっても作成はしていませんが)としてSparrow62 (+1) v2を約1ヶ月使っての感想、気付きです。

  • 足りないキーがないことは絶対的な正義だと思いました。単純な6x4だと、Escや右端の[や]やBackspaceやDelが収まらないのですが、Sparrow62 (+1) v2は左側にEsc用の追加1個、左右の中央にそれぞれ3個の追加キーが置かれていて、十分な余裕を持たせています
  • とは言っても、カーソルキーとF1〜F12のキーはありません。F1〜F12キーはMod+数字と-=で良いとして、カーソルキーをどこに置くかは迷いました。逆T配列を右下の端に置いたりと色々試してみましたが、右手のホームポジションであるJKLとIに置くのが今は一番しっくりきています(贅沢に右手側SDF Eにも同時に置いたりも便利です)。数字キーも左右に分断されていてとても押しにくいと感じるので、これもホームポジションのUIO JKL M,.を中心に配置する方式で検討中です
  • 親指キーの活用として、右手親指にSpaceキーとEnterキー、左手親指にBakspaceキーを置いています。わたしはSpaceは圧倒的に右手のみで入力していたのと、前方に進むSpaceとEnterを同じ右側に、前に戻るBackspaceを反対側と、右左に分けて置きました。Backspaceは通常のキーと同じくらい入力頻度が高いのも親指ブロックに置いた大きな理由です
  • ファームウェアがKMK Firmwareなので、キーマップはPythonインタープリタのソースコードになっています。これをテキストエディタで書き換えるだけでカスタマイズすることができて、いつでもどこからでもすぐに変更できる気楽さがうれしいです(これに対して多くの自作キーボードが採用しているQMK Firmwareはなにがしかの専用のツールがないとキーマップを変更できません)
  • わたしの場合、Cのキーをどうしても人差し指で押してしまう癖がついていることに気付きました。中指への矯正をやってみようとはしましたが、できそうにありません。ここは入力の気持ち良さを優先して、左手最下段は一文字右にずらして配置しています。押し出されてしまうBのキーは中央の追加キーのおかげで居場所が確保できました。左端、Aの下はShiftキーを置けたのでこの配置は一石二鳥です
  • こだわりのロープロファイルなので、ベタ置きでも、ダイソーのゴム製ノートPCスタンドを少し削って傾斜させても、どちらでも快適です

まだまだ、わたしのキーボード探求は続きそうです。
なお、本記事はSparrow62 (+1) v2を使って作成しました。

2022-06-16

Apple Silicon Mac上でIntel x86 Windowsのアプリを最も高速に実行する方法は、現時点はWine

Hypervisor Framework(これに対してVirtualization FrameworkはHypervizor Frameworkにひと皮被せてLinux OSを実行しやすくしたもの)を使ってArm版WindowsをApple Silicon macOS上で実行できることは既に知られていることです。
更にその中で、Microsoftのエミュレータ機能を使って、Intel x86用のWindowsアプリを実行することもできます。

Appleは独自技術を使ってIntel x86アプリを実行するRosetta 2を提供していますが、Arm Windowsの中ではRosetta 2を使用することができなくて、Intel x86 Windowsアプリの実行速度はそれほど高速ではありません(おおよそ半分の速度くらいでしょうか)。

従来から有名なWineを使用すれば、Windowsアプリの実行をWindows OSをインストールすることなしに行うことができます。
このWineが昨年からApple Silicon Macに対応しています。
WineはmacOS上で直接実行されるもの(仮想化は使用しない)なので、Rosetta 2が活用できます。
少し試してみたところRosetta 2らしい高速性が発揮できていることが確認できました(わたしが軽いベンチマークでよく使う7zipのbオプションで、Apple Siliconネイティブのバイナリに比べてIntel x86 Windowsバイナリは2割程度の速度減に収まりました)。
(QEMUやUTMでIntel Windowsを丸ごと実行した場合は3~4倍遅いのに比べると雲泥の差です。)

ただしWineは、Windowsアプリの実行のためのOS環境を互換ランタイムライブラリで代替する方式のため、たとえば.NETなど複雑なランタイムを使用したアプリは互換性が取れなくて実行できません。
わたしが一番使いたかったWindowsアプリであるPaint.NETも実行できませんでした。

しかしながら、Wineで実行できるWindowsアプリでさえあれば、現時点でApple Silicon Mac上で最も高速に実行する方法であることは間違いないと言えます。
ゲームアプリなどでWineが対応しているものもあるようです。

ちなみに、Intel WindowsアプリではなくてIntel Linuxアプリの場合は、前の書き込みの方法の、macOS 13 VenturaのVirtualization Frameworkの新機能を使って、Arm Linux VMの中でRosetta 2を使う方法が最速です。

Apple Silicon macOSのRosetta 2が進化して、仮想Arm Linux内でx86バイナリの実行をサポート

今日はApple Silicon Macの仮想化とIntelエミュレーションに関して2つの話題を書いてみたいと思います。

先日のWWDC22でmacOS 13 Venturaが発表されました。
盛りだくさんの新し機能の中で私が一番だと感じたのは、やはり、仮想環境の中でIntel x86バイナリの実行が出来るようになることです。
ただし、手放しに喜べる機能ではなくて次の使い方に限定されたものです(Apple Developerサイトの解説)。

  • Virtualization Frameworkを使ってArm版のLinuxを起動する
  • Linux内でmacOSが提供するツールのおまじないを設定する
  • Arm Linuxの上でRosetta 2を使ってx86用のバイナリを実行できるようになる

x86のLinuxを直接実行できるとか、ましてやx86 Windowsを実行できるなどは、まだです。
Linuxではなくて、Arm Windowsの中でx86のWindowsアプリを実行する場合には、引き続きMicrosoftのツールを使うことになります。

Rosetta 2のx86エミュレーションはApple Siliconの非公開機能を使用しているのでとても高速に動作します。
また、現状のmacOSの仮想化機能では、仮想OSの中で仮想化機能を使用すること(Nested Virtualization)はまだできません。
今後も徐々にRosetta 2やVirtulization Frameworkの適用範囲が広がっていってほしいと願います。

 

[2024-06-13] x86バイナリのコンテナもそのまま実行できるような環境が整備されてきました。
Docker DesktopやLimaのコンテナ実行環境で、直接Rosetta 2を利用するための 「Linux内でmacOSが提供するツールのおまじないの設定」が適用されるようになったようです。

macOSはLinuxそのものではないので、Docker DesktopやLimaはコンテナ実行マシーンを作成し、リモート環境としてコマンド接続してコンテナを実行するひつようがあります。
dockerコマンドだと、環境変数 DOCKER_HOST 指定、または .docker/config.json の Host 指定、あるいは context での指定、あるいは廃止になった以前の機能なら docker remote xxx をしているのと同じですね。
もっとシンプルなpodmanコマンドなら --remote と --connection の指定をしているのと同じです。

2022-06-02

iPad Pro専用のiPadProOSがmacOSと共通化すればよいはず

Apple Siliconへの移行の仕上げの年のWWDC22開催までいよいよ1週間を切りました(キーノートのページ、WWDC22の全体目次ページ)。

前回の書き込みで指摘したように、Apple Silicon M1になったiPad Proは、処理性能面では完全にMacBook Airと同じものと言えます。

iPadに対してiPad Proのプレミアを付けて、iPadOSから派生してiPadProOSだけをmacOSと統合すればよいのです。
あるいは、むしろ逆にmacOSにiPadOSのタブレット由来機能を統合して、MacBook AirとiPad Proを共通化すればよいのです。

MacBook Airのディスプレイ部分とボトムパーツが分離できるようにして、あるいはiPadにフロ-ティングMagic Keyboardを付けた状態がMacBook Airみなしの状態になって、分離した状態では純粋はiPad Proタブレットモードとしての利用状態になり、一体化した時または外部ディスプレイとキーボードを接続した時にはmacOSモードでマルチウィンドウの動作になる、という仕組みです。

このiPad ProとMacBook Airのハイブリッドマシンは、あえて安価にしなくてもよいので、是非とも実現して欲しいものです。
iPad ProでもMacでもない、Apple Siliconによって生み出された新たなカテゴリの製品としてでも良いかもしれません。

さらに、iPad miniサイズやiPhone Pro Maxサイズで、ポケットに入るMacというものもとてもあこがれます。
これ、最高にわくわくしてしまいますね。


2022-05-23

iPad ProのmacOSモードは永遠の夢物語か

MacRumorsの記事Apple Patent Suggests Future iPad Could Transform Into macOS-Like Experience When Attached to a Keyboardから

Apple Siliconの登場後、とうとうiPad ProとiPad AirにまでM1チップが搭載されました。

macOS側は、Mac CatalystによってiPadアプリとmacOSアプリのソースコードを共通化できるし、実行環境としてはiOSとiPadOS用のアプリをそのまま実行できるようになっています。

MacBookシリーズが電源と外部ディスプレイとキーボードを接続するとクラムシェルモードになるように、iPad Proもドッキングステーションに繋げたらmacOSモードになったら、とてもスムーズですよね。
これ、見ようによってはSurface Proと同じなのですが、タブレットとしてはiPadOSの方が断然使いやすいので、別物として忘れてよいと思います。

以前のわたしの書き込みでも、MacBook Air(あるいは12インチMacBookの復活版)の新筐体デザインとして、ディスプレイ側にロジックボードを組み込む方式を妄想しました。
そもそも、すでにMacBook AirとiPad Proのロジックボードはほとんど同じサイズなのだし、どちらもファンレス、CPU+メインメモリも共通、SSDストレージオプションも全く品揃えです。

現在のMacBookシリーズで一番嫌いな点は、ディスプレイを最大限開いた時の角度が少なすぎて、とうてい水平にならない点です。
このせいで、外部ディスプレイを接続する時に内蔵ディスプレイがどうしても邪魔をしてしまうので、せっかくのとても使いやすいキーボードとトラックパッドを使うのを泣く泣くあきらめて、外部キーボードと外部トラックパッドで使わざるを得ないことになります。
外部ディスプレイを接続してクラムシェルモードにしてしまうと、せっかくの良質の内蔵のディスプレイ、キーボード、トラックパッドがすべて無駄になってしまいます。
iPad ProにキーボードをつないでmacOSモードで使えるようになるのであれば、一組のキーボードとトラックパッドだけを所有していればよいことになるし、iPad本体もセカンドディスプレイあるいは超大型のタッチバーあるいはペン入力デバイスとしてそのまま活用出来て無駄がありません。

iPadOSにも、マルチウィンドウ操作用の3つのドットが画面上部に出るようになって、もうゴテゴテしてきています。
この際ですから、macOSと共通化してしまった方がすっきりしそうに思います。

2022-05-13

あこがれのエルゴノミックキーボードに触れてみる – Kinesis Freestyle2を手に入れた

Kinesys Freesytle2を導入したわたしのデスクトップ
下図に比べて横幅が節約できています
高さ調整のために一時的にiPhoneを敷いているのはご愛敬
MX Keysでのわたしのデスクトップ
右側は遠いのでトラックパッドは左側

以前、わたしの自宅のデスクでは、フルキーボードのMX Keysと左手置きのMagic Trackpadを使用しているとご紹介しました
左手トラックパッドは十分に慣れたし、上品なキータッチは捨てがたいのですが、MacBookのキーボード+トラックパッド一体型をたまに使って比べてしまうと、まだどうも満足感が低いというか、どことなく操作性に違和感(文字入力とポインタ操作を行き来するのに手の移動が大きいとか)を感じています。
そのむかし、Apple Adjustable keyboard (Mac­Tech­nology Lab.さんの記事) を見た時からエルゴノミックキーボードにはずっと興味があって、いつかチャンスがあれば欲しいと思っていました。

わたしがエルゴノミックキーボードに期待したいことは、

  • 手首が自然な形のまま楽な状態でキー入力できること
  • 通常のキーボードとキー配置の違いが少ないこと
  • なおかつ、出来るだけデスク上の場所を占有しないこと

の3点です。

テンキーレスで横幅が短いLenovo GoのWireless Split Keyboardを去年の夏の発表からじつはずっと待っていたのですが、発売開始される気配が一向にありません。

いろいろ調べていくうちに、一体型のエルゴノミックキーボードよりもずっとコンパクトに収まる「分離型」のキーボードを意識するようになってきました。
でも、メカニカルキーボードには、キータッチ音が大きいことと、全体の分厚さにどうしても違和感がある印象から、候補外にしていました。

そんな中で、唯一、メンブレン方式のキースイッチ(ラップトップが一般的になる以前、デスクトップのキーボードでは主流のキースイッチの方式)を使ったKinesisのFreestyle2が目に入りました。
やってみなけりゃわからない、の精神で、今回実際に手に取ってみることにしました。
入手から半月ほど経った感想です。

  • なつかしいメンブレンのキータッチ。キータッチ音は一般的なメカニカルキーボードに比べると静かなようです
  • 左右分離型なので両手を肩幅に広げた状態で使用できます。通常のキーボードの手の構えはやはり指や手首や肩に負担をかけていることに気付かされます
  • トラックパッドを左右のブロックの間に挟んでおくことができます。こうすると、ホームポジションからあまり移動せずにトラックパッドを操作することができます。親指の付け根での誤タップすることもなくて、ひょっとするとラップトップよりも良い配置なのかもしれません。iPhoneくらいの厚みのスペーサーを下に敷くことでトラックパッドの操作面がキーボードと同じ高さに揃えることができるので更に上下の手の移動距離が少なくなります
  • 薄型キーボードに比べるとキーの高さがどうしてもあります。パームレストを使うのも手ですが、わたしは奥側にラップトップ放熱スタンド(ダイソーの半球状のもの、ダイソーのショップページ参照)をはさんで傾斜させることにしました。こうすることで手首の位置を動かさずに奥側のキーにも指が楽に届くようになりました
  • 汎用のキーボードとしてとても珍しいと思うのですが、左側にCut/Copy/Paste、Browser Back/Forward等の専用キーのブロックが付いてきます。これはかつて、パーソナルコンピュータ登場以前のDTP専用機であるXerox Star(Jobsが見学してMacのアイデアの元になったXerox Altoの直系の商用マシン、晴歩雨描さんの記事)にこれらの専用キーブロックが付いていたのと同じで、とても感慨深いです。中でも特にBrowser Back/Fowardが手軽で重宝しています
  • Kinesis Freestyle2にはWindows PC版Mac版があるのですが後者を選びました。Windows PCとMacの両方でF1~F12と左側の専用キーをフルに使用したかったからです。Mac版の専用キーは例えばCopyはWin+Cのキーコードを出すのでWindowsではこれをPower ToysのKeyboard ManagerでCtrl+Cに置き換えて使います(Win+Cは使わないのでこれでOK、逆にWin版でCtrl+Cの置き換えだとMacのターミナルで支障が出る)。Windows 10ではWin+Cはコルタナ呼び出しなのですが、ログイン後3回ほどCopyキーを空打ちしてコルタナをキャンセルするとそれ以降はCtrl+Cが効くようになるという、ちょっと変なコツで回避することができました

以下、マニュアル等に書いていないFreestyle2の注意点です。

  • このキーボードでは、Fnキーが、他のキーと同時押しで機能するシフトではなくて、Fnモード(青色刻印)をON/OFFするトグルになっています。その上なぜかFnモードでは左の専用キーブロックのキーがすべてShiftのキーコードしか出さないというちょっと癖のある仕様になっています。このために左ブロックとIMEでよく使う上段のFxキーが両立出来なくてFnモードを意識して使う必要があります。仕方ないので上段のFxキーのメディアコントロールを逆にFxキーに置き換えてしのいでいます(Power Toysで例えばVolUpをF10に置き換え、VolUp自体はAlt+F10に、なぜかRev/F5、Play/F6、Fwd/F7の3つのFxキーの置き換えは出来ず)。
  • 右上端のDelの隣キーがSleep/Wakeで、うっかり押すとWindows PCもMacもスリープしてしまい、作業中断させられます。うっかり押してしまわないように気を遣います
  • メンブレンのキータッチは私にとっては懐かしい面もあるのですが、現代的な薄型キーに慣れた体からすると、キーストロークが深すぎますね
  • Freestyel2はMac版のみUSBポートがボーナスで付いてきます。ただしMagic Trackpadを接続しても電力不足の警告が出てで動かず、ケーブルの削減には貢献できませんでした

こうして、わたしも、とうとう「キーボード沼」への一歩を踏み出してしまったかもしれません。

2022-04-27

Microsoft Officeのアンドゥバッファ(Undo buffer)は実質 無限段階だけれども、PowerPointだけは初期設定が必須

以前の投稿で、Microsoft Officeがトラブルで落ちてしまった場合の通常レベル以上のリカバリ方法をご紹介しました
今回は、編集の誤操作や操作ミスを元に戻すアンドゥバッファ(Undo Buffer、[元に戻す]機能)についてです。

WordとExcelは初期設定で100回までのアンドゥを行えるようになっています。
わたしなどは、この機能と自動保存が大のお気に入りで、日常のテキスト記録をテキストエディタではなくてあえてWordで行っているほどです。

ところが、先日初めて気づいたのですが、PowerPointだけ初期設定値がWord/Excelと異なっていて、初期設定では20回までしかアンドゥ出来ないのです。
少しだけ内容の違うスライドを作ろうとしていて、元のスライドをコピーしていないことに気付いたので、アンドゥで編集操作を戻して元のスライドを一旦保存した上で、リドゥして現在の編集状態まで戻ればいいや、と思ったのですが、アンドゥバッファが全然足りなかったのです。

PowerPointでもWord/Excelと同様の実質無限のアンドゥバッファを利用する設定があります。
それは、 リボンの [ファイル] => [オプション] ダイアログの [詳細設定] の [元に戻す操作の最大数] で行います。
最大値は150なので、ここは150の一択ですね。
この設定は必須だと思います。

なお、OSやPowerPoint/Word/Excelがトラブルで落ちてしまった、あるいは誤操作で落としてしまった場合の備えは、自動保存機能(自動バックアップ)です。
その設定は、同じく [オプション] ダイアログの [保存] の中の [次の間隔で自動回復用データを保存する xx 分ごと] です。
初期設定は10分だったと思いますが、わたしは3分と短めにしています。

この2つの必須設定で、安心してWord/Excel/PowerPointでの編集が行えるようになります。

2022-04-13

『今夜はコの字で』シーズン2はコロナ後の世界線、まさにコの字に戻れて「涙が出るほどうれしい」

お気に入りのテレビ番組『今夜はコの字で』のシーズン2が始まりました。
この番組、シーズン1の放送開始の時にちょうどコロナ禍が始まってしまい、撮影もとても苦労したと想像しますし、なによりせっかく紹介されたコの字の名店にもお邪魔することができない状態でした。

満を持してのシーズン2(番組サイト)は、コロナ後の世界線の設定になっているようです。
まずはテレビの中だけでも酒場に行きましょうか(TVerの直リンク)。
(このブログの以前の書き込み

2022-04-07

WWDC22への願望 - ヘッドトラッキングでゴーグル無しVR、SwiftVR toolkit

WWDC22の開催がアナウンスされました。
オンラインですが例年同様6月第2週です。
イベントのアイコンが気になって仕方ないです。
単純なSwiftやSwift Playgroundの新バージョンのロゴじゃないし、ましてやSwift Student Challengeの缶バッジではないように見えます。
Swiftが大幅に拡張されてSwiftVRみたいなメタバースの実現機能を提供するとかのように思えます。
少なくともSwiftに何かが起こるのではないでしょうか。

OculusあらためFacebookあらためMetaではもっぱらVRゴーグルでメタバースを提供していますが、たとえばPortgraph (ツイッター https://twitter.com/portalgraph ) では通常のディスプレイとヘッドトラッキングだけでVR効果を生み出しています。
左右の目に視差のある映像を送らなくても、視線または頭の動きに追従した映像を生成すればよいのです。
Appleでヘッドトラッキングと言えば、最新のiPadシリーズやStudio Displayがセンターフレーム (日本ではAirPort/AirMacの時のようにまた商標権(こんどは上質マンション)に引っ掛かったんですね、英語ではCenter Stage、対応機器は https://support.apple.com/ja-jp/HT212315 ) に対応していますし、空間オーディオ対応のAir Podも対応しています。
これらの技術をうまく利用して、顔に変なデバイスを装着する必要なしでVRを実現して欲しいものです。
映画館のように複数人数に対して一斉に3D映像を見せたい場合は、視差効果処理済みの単一の映像を3Dメガネで各自でデコードしてもらう方式が良いですが、VRゴーグルのように一人向けの映像利用であればヘッドトラッキングだけで事足りるはず、要は使い分けです。
ZoomやTeamsでもセンターフレームが使えるように、swiftVRも汎用化されれば、Apple SiliconがVR視聴・VR没入の一大プラットフォームとして普及するのではないでしょうか。
Apple Siliconの有り余るパワーの活用をこのような形で提案して欲しいものです。

VR対応じゃないのなら、iOS / iPadOS / macOS / watchOS / tvOSが今度こそ統合されてswiftOSになるとか。

なんか妄想と願望が膨らんでしまいました。

[2022-05-22] 5月の非公開の取締役会議でヘッドセットが披露されたようだ、とBloomberg等の記事が出ました。

2022-03-29

Apple Silicon Mac ProとM2を予想してみる

2020年12月に描いた絵
先日のApple Special Eventではセパレート型のiMac Proとでもいうべき、Mac StudioとStudio Displayが発表され、わたしたちの予想を大きく裏切ってくれましたね。
パフォーマンス・消費電力のグラフを見るとM1 ULTRAはCPUとGPUを合わせて200Wくらいの熱容量になりそうなのでMacとしては巨大なファンが必要になり、Mac miniにも収まらなくてMac Studioのような半分を冷却機構を占める筐体になるのが自然です。
(Studioと言えば、Surface Studioの方が先でしたが、あちらは斜め上を行く変形機構でびっくりしました。)

Mac Proに関しては「次回のお楽しみ」と明言されました。
CPUパフォーマンス、GPUパフォーマンスとも、現行のMac ProをMac Studioで超えることができた今、残る課題はメモリ容量です。
Mac Pro(チーズおろし、すりおろしリンゴ)の最大メモリ容量は1.5TB、M1 ULTRAの128MBの8.5倍です。
これをいままでのような倍々ゲームで到達させるのは並大抵のことではないですし、このような巨大メモリを変更不可の固定サイズで提供するのはどう考えても無理があると思います。
やはり専用のコネクタを開発してでも、外付けのメモリスロットとせざるを得ないのではないでしょうか。
このインターコネクトは、うまくすればM1 ULTRAをマルチプロセッサとして接続するBUS (External Ultra Fusion?) としても利用できます(M1 ULTRAの説明では、マルチプロセッサの通信がボトルネックになるのでSOCの中で2つのM1 MAXを接続したと言ってはいましたが)。
冷却機構はさらに倍以上必要になります。
ヒートシンクやヒートパイプが一体化した拡張メモリ、拡張CPUカードになりそうです。
Mac Proでは柔軟なアップグレード性が重視されるので、この線がかたいと思います。

もう一方の、Apple Silicon M2は、いくらシリコンプロセスが一世代進んで微細化されたとしてもM1から2倍の性能という事は無くて、例えば1.2倍とかなのではないでしょうか。
一世代で1.2倍と言うのは、実はちょうど具合が良くて、M1がノーマル、PRO、MAX、ULTRAと4グレードでシリーズ化されているところに、M2で同様のグレードを出したとき、ちょうど順序よく並ぶことになります。
つまりノーマルM1の少し上にノーマルM2で、同時にM1 PROを超えない、という具合です。

Apple Silicon SOC CPU GPU M1比
CPU
M1比
GPU
M1 8 8 8 8
M2 8 10 9.6 12
M1 PRO 10 16 10
16
M2 PRO 12 15 14.4 19.2
M1 MAX 10 32 10 32
M2 MAX 12 32 14.4 38.4
M1 ULTRA 20 64 20 64
M2 ULTRA 24 64 28.8 76.8

単純な算数ですが表にしてみました。
M2のCPUとGPUの数を適当に設定して、M2シリーズの「M1比」のところは1.2倍した数字を書いていき、「M1比GPU」のカラムでソートしました。
うまい具合にグレード順に並ぶと思います。

M2 MacBook Airが、M1 MacBook Pro 14よりハイパフォーマンスになってしまうようなことだと、全機種・全グレードを一気に置き換えなくてはいけなくなくてとても都合が悪いですよね。
もしもM2がM1のコア当り1.2倍以上、例えば1.8倍とかのパフォーマンスを出せてしまうのなら、コア数自体を減らして省電力の方向に振ればよいですね。

いずれにしてもApple Silicon Macがこれからどんな進化をしていくのかますます楽しみです。
有り余るパフォーマンスはパーソナルユーズでは、メタバースに活用していくのが良いですね。

2022-03-05

ついにM2 Mac Pro登場? Peek PerformanceのApple Special Event (2022-03-09 3:00 JST) にて

世界情勢が不安定な中、Apple Special Eventの開催が告知されました。
よくぞ決断したものだと思います。
テーマは Peek Performance 「最高峰を解禁。」です。

Apple史上、およびデスクトップコンピュータ史上、最高の (peak) パフォーマンス (performance) をたたき出すマシンをお見せします (peek)、と言う意味以外考えられませんね。
M1 Apple Siliconでの驚き、それ以上のパフォーマンスジャンプをM2 Apple Siliconで見せてくれるに違いありません。
あとは、プロシューマ向けのソフトウェアがどれくらい揃ってくるかですね。

くれぐれも、体調と、情勢に気を付けながら、楽しみに待ちたいと思います。