2022-09-08

基板組み立てサービス (PCB Assembly、SMT: Surface Mount Technology) 付きでLilithの自作キーボード基板を発注 [自キ沼#8]

今回Lilithは、初めての自作キーボード設計なのに、いろいろ欲張ばりすぎて、いきなり詰め込みすぎんじゃないかな、と我ながら思います。
トッププレートの次に行った、基板の設計は、着手してから3週間近くもかってしまいました。

  • 基板はリバーシブルで、最低発注数5枚がキーボード2.5台分として活用できるよう、最大限の節約策を考えました。

  • まず、Pro Microの配置は、裏向きでコンスルーで上から挿して、そのピン配置を基板の裏側に描くので、ものすごく頭がこんがらがりました。
    その上、基板全体がリバーシブルです。初期段階から最終段階まで、Pro Microの方向の間違いに何度も気付いて修正し続けることになりました。それでもSU120を参考にして、マトリックスのX1~X8、Y1~Y5を一旦は共通端子に取り出して、そこから配線する形にしたので、向きを都度集修正した影響はPro Microの場所に局所化できたと思います。
  • Lilithはカラムスタッガードやオーソリニアのような左右対称ではないので、リバーシブル化のための作戦が必要です。
    今回、ジョイスティックがある左手側を基本にして配線し、右手側は2行めと3行めの間でカットし、さらにズラして接続する方式を考えました。
    これもSU120が参考になっていて、SU120では1キー毎に切り離し式で切り離さなければ配線されていますが切り離せばレイアウトが自由、Lilithではこれにならったもっと大きいブロックの切り離し式と言っていいんじゃないかなと思います。切り離しする左手側はX1~X8、Y3~Y5の11本をエナメル線で配線する予定です。この先もしこの基板を配布することになった場合には、このままで行くか、コネクタにするか、台数がさばける前提でリバーシブルをやめるか、をまた考えなおします。
  • 回路配線は、パズル感覚で楽しみながら手作業で配置しました。
    縦軸Yの配線は裏面で、横軸Xは表面でと、規則性を決めて行いました。時間はかかりましたが、自分で見て判りやすい配線配置になったと思います。これは、後で接続を追う時のためにも大事なような気がしています。
  • DRCチェックを通すと、回路図を元に配線忘れを指摘してくれるので、安心です。

  • 今回、はじめてなのに、大それた基板組み立てサービスを利用したかった最大の理由は、ジョイスティックのリボンケーブルのFPCコネクタが0.5mmピッチと、手でハンダ付けするのは限界と思ったからです。
    Amazonで見つけた0.5mmと1mmコネクタの両面ブレークアウト基板の、1mm側のコネクタのハンダを外すのでさえ、やってみてとても大変というのを経験していたからです。将来的にUSBCコネクタを付るような場合にも手ハンダは無理だと思っています(少なくともわたしには)。
  • このFPCコネクタと表面実装ダイオードの部品は、高さがちょうど1mmのものをJLCPCBのパーツ品揃えの中で見つけることができました。
    基板がリバーシブルなので左手側は表面実装部品が基盤の上面に来ることになります。上下のミドルプレートを1mmにして、ちょうどこの高さに収めることができそうです。スイッチのソケットは2mmくらいの厚みがあるので右手側・左手側とも裏面に手でハンダ付けします。
  • 部品実装のためのPositionファイルを作成するのには苦労しました。
    キースイッチの面から見て裏面に部品を実装する指示をしたかったのですが、ダイオードは向きが逆になったり、小指ブロックの13°の傾き部分の傾きが逆になったりと、KiCADの生成したPositionファイルのままではどうしてもうまく行きません。FPCコネクタは自分で描いたフットプリントを回転したりして合うようにしましたが、ダイオードに関しては、位置はKiCADの言う通り、向きは仕方ないので手でテキスト編集しました。それでも、JLCPCBの発注後のFDM Analysisでは、基板はX軸の正の側、部品はX軸の負の側に配置されている、と表示されてしまっていますが、これはJLCPCB側で修正してくれるようです。KiCADで元から基板を裏返して、表面に実装指定する形にすればもっと楽だったのかもしれません。

  • 先日作成したプレートのGNDベタ塗りは、配線が何もなかったのでワンプッシュで何も考えなくてよかったのですが、今回の基板では、配線があるせいで基板の真ん中あたりにベタ塗り領域が全然行き渡りません
    配線の間隔を広げてやったり、このためだけにビアで反対側に配線を逃がしたりして、ベタ塗り領域が出来る限り連続するようにしました。この作業だけでもパズルのように半日くらい楽しめました。
  • シルクスクリーンの文字も、表と裏で意図しない側に描いてしまったり、抜けていたりする箇所が意外と多くありました。
    KiCADの基板エディタではなかなか気付きにくくて、最終段階でJLCPCBの3Dプレビューを見て気付いて修正しました。

  • JLCPCBの価格は総額¥4,000になりました(キーボード2.5台分)。
    基板の方は追加料金なし(基本料$4+基板料¥1,300)。
    組み立てサービスの方は、基本料¥1,000+表面実装に使うステンシルマスク¥200+部品代はキーボード2.5台分で¥300(誤差くらい安いですね)+FPCコネクタがExtended Componentなのでパーツの入替作業のための追加¥400(ダイオードはBasic Componentから選んだので追加料金なし)+組み立て費¥100です。
    部品代金と、手ハンダの手間の2.5台分と考えるとお安いと思いました。輸送費は追加で¥1,600、クーポン割引 -¥1,400 ($10) を合わせたのが請求額になります。
  • 一点注意点は、基板組み立てサービスは前払い対応のみなことです。単なる基板作成や3Dプリントではレビューが通った後に決済に進むオプションがあるのとは違っています。発注後に基板や部品の間違いに気付いてもキャンセルができません(Chatでお願いすれば修正版での差し替えくらいはおそらく出来るとは思います)。

順調に製造が進んでいるようでほっとしています。
あとは受け取って、意図したとおりに動作するかどうかのお楽しみです。

この投稿は、Sparrow62 v2+片側だけLDSAロープロファイルキーキャップ を使って書きました。

No comments:

Post a Comment